大量のセンサーデータを集約する「仮想化センサー」で「見える化」が容易に:製造業IoT
インフォコーパスは、エンタープライズIoTプラットフォーム「SensorCorpus」で「仮想センサー」を実現するための技術となる「センサーデータ・ストリームプロセッシング(SDSP)を開発したと発表した。
インフォコーパスは2017年1月25日、同社のエンタープライズIoT(モノのインターネット)プラットフォーム「SensorCorpus」で「仮想センサー」を実現するための技術となる「センサーデータ・ストリームプロセッシング(SDSP)」を開発したと発表した。同年2月1日から、SensorCorpusのオプションサービスとして提供を始める。
SDSPは、大量かつ多種類のセンサーデータを統合/集約し、1つのデータとして仮想化して、理解しやすい指数の作成や異常値の自動判定、特定条件下の状況判断などをリアルタイムで行う技術である。SensorCorpusのユーザーは、新たにシステムを開発することなく、さまざまなセンサーによる複雑な現象をリアルタイムで「見える化」し、その制御も行えるようになる。
SDSPの主な機能は4つある。1つ目は「センサーデータの加工」である。複数種類のセンサーデータから新たな指数を生成するもので、例えば、湿度や日射、温度データなどから熱中症対策の暑さ指数を自動生成することができる。2つ目は「センサーデータの集約」だ。大量のセンサーデータの集約により、平均値や閾(しきい)値を自動生成し、異常検知の信頼性を向上させられる。3つ目の「センサーデータの分割」では、条件分岐により、データの選別やデータ経路の変更など特定条件下での状況判断を行う。そして4つ目になるのが「アルゴリズムの実装」だ。1つ目〜3つ目の機能の組み合わせにより、個別アルゴリズムを実装できる。
SDSPと連携させるSensorCorpusはクラウドベースのIoTプラットフォームである。センサーやゲートウェイの管理、センサーデータの可視化、アプリケーション・サービス連携、IoTセキュリティ、MQTTブローカー、フィードバック/フィードフォワード制御機能などが実装されている。
なお、SDSPの利用に当たってはコンサルティングによる事前調査が、アルゴリズムの実装ではカスタマイズが必要になる。将来的には、SensorCorpusと組み合わせた統合開発環境(IDE)を提供していく計画だ。
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