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PC上の「Grbl Controller」からステッピングモーターを操るArduinoで学ぶ基礎からのモーター制御(12)(1/3 ページ)

今回は、ファームウェアウェア「Grbl」とペアになって動くPCソフトウェア「Grbl Controller」を使って、ステッピングモーターを制御していきます。また、記事後半ではG-CODEのプログラミングにも挑戦します。

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はじめに

 「Grbl Controller」はArduinoで動作するファームウェア「Grbl」(以下、Grblファーム)とペアになって動くPC側のソフトウェアです。これによりPC上のGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)でさまざまな設定や操作が可能になります。Grblファームとともにオープンソース系の3DプリンタやCNCでは最もポピューラーなソフトウェアの1つです。今回はこのソフトウェアを使ってステッピングモーターの制御を行います。また後半ではG-CODEのプログラミングにも挑戦したいと思います。


図1:本連載で紹介するハード/ソフトウェア構成イメージ
今回は、PCの部分について解説する

ボールねじ直動機構

 今回はステッピングモーターを制御して指定した軸方向に正確にペイロードを移動させてみます。そのためには何らかの検証をする機構が必要です。そこで筆者が試作中のCNCの一部であるボールねじ直動機構を使います。この連載はCNCを自作することが目的ではないので、ボールねじ直動機構の簡単な原理とこの後パラメーターを設定する際に必要になる仕様の提示にとどめたいと思います。

 通常ボルトとナットの関係はナットを固定してボルトを回してネジを絞めたり外したりする使い方なのですが、ナット側を移動させたい負荷(ペイロード)に固定します。そこにボルト(ボールねじ)を通し、ボルトの位置は固定したまま回転させます。するとナットに固定された負荷が直線的に移動します。これを利用したものがボールねじ直動機構です。今回はこのボールねじ直動機構の1軸だけを使ってGrbl Controllerを説明します。

 図2が今回の実験に使うボールねじ直動機構の写真です。


図2:ボールねじ直動機構 (クリックで拡大)

 ステッピングモーターが回ればそれに取り付けられたボールねじが回り、アルミフレームで作られたステージが左右に動く仕組みです。ステッピングモーター自体はユニポーラ型ですが、6端子のうち4端子のみを使ってバイポーラ型として使っています。ちなみにコイルの両端の抵抗は約12Ωでこれに12Vをかけて駆動します。

 図3はステッピングモーターの軸とボールねじの接合箇所の写真です。


図3:ステッピングモーターの軸とボールねじの接合部分 (クリックで拡大)

 ステッピングモーターの軸の直径は5mmなのですが、ボールねじは6mm径です。そこで軸径を変換するカプラーを入れています。ちなみに6mm径のネジは精密機械用のボールネジではなく一般のホームセンターなどで入手可能な長ネジを使っています。実は6mm径のボールねじを使うのには理由があって、ネジのピッチが1回転でちょうど1mmになるためです。この値はあとで必要になりますので記憶しておいてください。

 ステッピングモーターの軸径が5mmのものが多いのに、なぜかCNCや3Dプリンタのボールねじは6mmが多いことに疑問を感じていましたが、これが理由のようです。

 図4はボールねじ直動機構の可動部であるステージを裏から写した写真です。


図4:ボールねじ直動機構のステージ (クリックで拡大)

図5:直動機構を3軸組み合わせた例 (クリックで拡大) 出典:ORIGINALMIND.CO.JP

 ボールねじにかぶさっていてステージの側面にねじ止めされているアクリルの三角形の板があります。この間にポリカーボネートの6mmのナットが仕込まれています。これによりボールねじの回転でステージが移動します。

 ボールねじの代わりにベルトが用いられる場合もあります。これらの直動機構は3DプリンタやCNCの最も基本的なユニットです。

 図5のように直動機構3つをX軸、Y軸、Z軸と組み合わせることで3DプリンタやCNCを作製することができます。

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