PWMでマブチモーターを制御する:Arduinoで学ぶ基礎からのモーター制御(5)(1/5 ページ)
「マブチモーター」でもおなじみ「直流ブラシ付きモーター」は安価で入手性もよいモーターですが、マイコンからの制御を考えると一工夫必要になります。今回は「PWM」を使った回転制御を紹介します。
はじめに
「直流ブラシ付きモーター」は最も身近なモーターの1つでしょう。国内では「マブチモーター」がその代名詞として知られており、安価で入手性も良好です。しかし、挙動や回転数などをマイコンから制御したいと考えると、やや手間のかかるモーターでもあります。
この回では直流ブラシ付きモーターの出力(回転数)を、マイコンからコントロールすること考えます。その中でもPWM(Pulse Width Modulation)という技術に着目して解説します。PWMについては本文で説明しますが、直流ブラシ付きモーターの出力をマイコンから制御する方法としては最も用いられている技術の1つです。
今回は小さなモーターの出力制御ですが、産業用や交通機関等の大規模なパワー制御でも用いられている技術です。この機会を利用して、しっかり基本を身につけて頂ければと思います。
直流ブラシ付きモーターの出力制御
直流ブラシ付きモーターの回転数の制御方法はいろいろありますが、まずは基本的なところから考えてみましょう。次の図はモーターに電池を1個と2個つないだ場合を示しています。
図の左は電池1個をモーターにつないだ回路です。それに対して右の図は電池を2個、直列にしてモーターにつないだものです。電池1個の場合に比べて電池2個を直列につないだ方がモーターは速く回転します。これは皆さんも直感的にお分かりですね。電圧を高くすればモーターは速く回転し、電圧を低くすればモーターの回転は遅くなります。
理論的には図2のように可変抵抗を用いて電圧の高低を調整すれば、直流ブラシ付きモーターの出力(回転数)を制御することが可能となります。
図2の青色の長方形が可変抵抗です。この可変抵抗は、矢印で表した接点をスライドすることにより抵抗値を変化させることができるデバイスです。昔のラジコン模型自動車などでは同様の方法でスピードをコントロールしていましたので、当時、ラジコンカーで遊んだことのある読者はご存じかもしれませんね。
当時のラジコンカーが搭載していたスピードコントローラーは、可変抵抗に接点をスライドさせることで、モーターにかかる電圧を調整しスピードを制御しました(機械式スピードコントローラーとも呼ばれました)。接点をスライドさせるため、別途サーボモーターが必要でしたし、抵抗の部分がかなりの高温になったと聞いたことがあります。また接触部分が稼働しますので耐久性にも問題があったことでしょう。
その後ラジコンの世界では、機械式に変わって電子式のスピードコントローラーが登場しました。「ESC(Electronic Speed Controller)」と呼ばれるものです。
ESCは今回のメインテーマであるPWMを使ったスピードコントローラーなのです。
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