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お手軽モノづくり体験――「あったらいいな」をArduinoでカタチにしてみよう!アイデア・ハック!! Arduinoで遊ぼう(1)(1/3 ページ)

「こんなモノがあったらいいのに……」をArduino(アルドゥイーノ)で実現。電子工作初心者や回路の知識のない人だって大丈夫。筆者と一緒に、頭の中のアイデアをカタチにし、モノづくりの喜びや難しさを体験・体感してみよう! 第1回では、開発環境の準備と電子工作の“Hello World”こと、「エルチカ」に挑戦するぞ!!

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アイデア・ハック!! Arduinoで遊ぼう

 「あんなこといいな♪ できたらいいな♪」と、あの有名アニメの主題歌のような気持ちになることはありませんか? 筆者は、そんなことをよく考えます。残念ながら、4次元ポケットから便利な道具を出してくれる万能ネコ型ロボットはまだ誕生していません。それに、空を飛びたいとか、ドアを開けただけでどこでも自由に行きたいとか、大それたことを望んでいるわけでもありません。

 ただ、ほんの少しだけ「こんなモノがあれば便利だな〜」とか、「こんなことができたら面白いのになぁ〜」と思うことがあるだけです。


 例えば、以下のような……。

そろそろ届くはずの郵便物。階下のポストまで何度も見に行くのは面倒くさいなぁ。部屋にいてもポストに荷物が届いたことが分かるようになればいいのに……。


コツコツ貯金した方がいいというのは分かっているけど続かない。楽しくお金が貯められる貯金箱があったらなぁ。


「ダイエットする!」って決めたはずなのに、ついついお菓子を食べちゃうワタシを止めてくれる装置があればなぁ。


 そんな妄想を膨らませている筆者に、「だったら電子工作して、自分で作ればいいじゃない」と友人が一言。はい、おっしゃる通りだと思います。でも、回路とプログラミングの知識が乏しい筆者には電子工作といえどもハードルが高いのです……。

 筆者は、市販の組み立てキットを利用した電子工作の経験はありますが、自力で回路を一から組むことはできません。プログラミングの経験も10年ほど前に、「Visual Basic」を使っていたことはあるけど、C言語は「Hello World」止まり……。それに、マイコンのプログラミングに至っては未経験です(補足1)。

※補足1:以前お届けしていた連載「マイクロマウスで始める組み込み開発入門」では、北上くんの“中の人”が記事中に紹介したプログラミングを担当していました。



 自分が欲しいモノを電子工作して作るなんて……。そりゃあ、できたら面白いだろうけど、自分にはムリムリと思っていました。

 そんな雰囲気を察してか、友人はある便利なモノを紹介してくれました。そうです、本連載の主役である「Arduino(アルドゥイーノ)」です。

 ふむふむ。“あるどぅい〜の”ね。聞いたことはあったけど、一体どんなことができるの? 「簡単だよ」というけれどホントなの?

スケッチして、プロトタイピング

 Arduinoは、2005年にイタリアで発足したプロジェクトから誕生しました。AVRマイコンと入出力ポートを備えた基板、そして、プログラミングを行うための総合開発環境「Arduino IDE」で構成され、これらハードウェア/ソフトウェアの両方がオープンソースで提供されています。

 もともと、電子工作やプログラミング経験がないアート系の学生向け教材として誕生したプロジェクトなので、できるだけ簡単にモノづくりを体験できるよう工夫されています。こうした思想は、Arduinoのプログラムコードのことを「スケッチ」と呼ぶことからも分かります。イラストを描くかのようにプログラムをスケッチし、気軽に電子工作を楽しんで、自分のアイデアをカタチにしよう! というわけです。

 ざっくり言えば、「センサーとLEDで、光と音の演奏ができたらな」とイラストを描いて(画像1)、実際にその回路が動くかテストして、Arduino IDEでスケッチ(プログラム)を記述すれば、「ほら、できた!」というわけです(動画1)(補足2)。えっへん!

イルミネーション楽器
画像1 手をかざすとLEDが光り、音を奏でる楽器があったらな! 名付けて「イルミネーション楽器」(……そのまんま)

動画1 イルミネーション楽器をArduinoで作りました!! ……練習不足で演奏がヘタっぴなので、自動演奏でお送りいたします

※補足2:本当に自分で作り上げました。アドバイスをくれた友人たちに感謝です!



 ……。スイマセン、ちょっと見えを張りました。実際、「ほら、カンタンでしょ!!」といえるほど楽ではありませんでした。どうしても動かしたかったので、回路設計を勉強しながら、ユニバーサル基板で回路作成したので、それなりに時間がかかりました。Arduinoとはいえ、自分のアイデアをカタチにするには、回路の知識が必要になってくるわけですね。実際のところ、回路の知識ゼロから開始し、完成するまでに3カ月強かかりました。これをカンタンというか、タイヘンというか人にもよると思いますが、筆者は「もう少しだ! もう少しでできる!」という思いで、その苦労も楽しみながら開発することができました。

 こうした湧き上がるモノづくりへのモチベーションは、「プロトタイピングで手軽にモノづくりをしよう」というArduinoのコンセプトによるものだと筆者は思います。

 単純にLEDを点灯させるのは、ものすごくカンタンでした! Arduinoの開発環境をセットアップしたその日にできてしまいます。LEDの点灯/消灯をセンサーで制御するのも、少し回路を調べたらできました。ブザーで音階を鳴らすのは、回路が少し難しいかなと感じましたが、そこさえクリアすれば、プログラミングは大したことはありません。

 回路は、インターネットで検索するといろいろと参考になるものが出てきました。「Arduino LED 回路」のように検索すると、自分が作りたい回路に近いものが見つかるので便利です。筆者は、ネットで下調べをし、実際にお店で部品を買うときにも店員さんに相談しながら何とか乗り切りました。

 後は、それらを組み合わせて完成!? と思いきや……。ここからが大苦戦(笑)。今回の作品「イルミネーション楽器」は、もともと電子工作の知識がある人なら、Arduinoで数日もあれば作れてしまうでしょう。それを3カ月強もかけて完成させた筆者は、挫折するどころか、「これは楽しい。これはハマる!」とその魅力にグイグイと引き込まれました。

 回路初心者&プログラミングぼちぼちな筆者ですが、本連載を通じ、「アイデアをカタチにする楽しさを、皆さんと共有していきたい」と思います。それでは、Arduinoの開発環境の構築から始めていきましょう。

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