IoT向け通信規格「NB-IoT」の屋外実証開始、ソフトバンクが国内初:製造業IoT
ソフトバンクは、IoT機器向けのLTE規格である「NB-IoT」の実験試験局免許を取得し、2016年11月24日と25日に国内初となる屋外実証実験を千葉県幕張エリアで実施。2017年夏ごろまでに商用サービス向けのネットワーク構築を行うことを目指す。
ソフトバンクは、IoT機器向けのLTE規格である「NB-IoT(NarrowBand-IoT)」の国内初の屋外実証実験を実施。2017年夏ごろのネットワーク構築に向けて取り組みを加速させる方針である。
IoTの活用が急速に拡大する中で通信コストの問題が障壁となるケースが増えている。IoTはさまざまな用途での利用が考えられる。大容量で高速な通信が必要な場合は従来のキャリアネットワークでカバーできるが、データ量が小さいセンサーからデータを得るような用途では、通信料金が高すぎたり、通信のための消費電力がかかりすぎたりするなど、利用が難しい状況となっていた。こうした中で注目を集めているのが、無線通信として、低価格、省電力で広域をカバーできるLPWA(Low Power Wide Area)である。
LPWAはIoTに特化したネットワークで、データ通信能力はそれほど高くないものの、低価格である点などが特徴である。今回ソフトバンクが実証実験を開始するNB-IoTは、そのうちの1つの規格だ。3GPPが定める通信速度などに関する標準化規格「リリース13」に準拠し、低コスト、低消費電力、エリアカバレッジの広さなどの特徴を持つ。さらに既存のLTE基地局を活用でき、迅速なエリア構築が可能である点を利点として持っている。
ソフトバンクでは、2016年11月16日にNB-IoTの実験試験局免許を取得。同年11月24日と25日に、実験局を用いた屋外実験として国内初となる実証実験を、千葉県幕張エリアにおいて実施している。今回の屋外実験を皮切りに実験の回数を重ね、2017年夏ごろのネットワーク構築を目指すという。
ソフトバンクは今回のNB-IoTの他、LPWAの1つである「LoRaWAN」の提供についても既に発表している※)。また、2017年2月からは同じくLPWAの1つであるSIGFOXが京セラコミュニケーションシステムズ(KCCS)を通じて、サービスを開始することを表明しており、LPWAネットワークの構築に向けた主導権争いが活発化している。
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