“腕キーボード”はスマートグラスと相性抜群! 製造ラインや物流で実証本格化:ET2016会場レポート
NECは、「Embedded Technology 2016」「IoT Technology 2016」(2016年11月16〜18日/パシフィコ横浜)で、2015年に発表した“腕をキーボードにするUI”の進化版を紹介した。同UIは「ET/IoT Technologyアワード」の優秀賞を受賞している。
NECは、2016年11月16〜18日にパシフィコ横浜(横浜市)で開催されている展示会「Embedded Technology 2016(ET 2016)」「IoT Technology 2016」で、2015年に発表した“腕をキーボードにするUI(ユーザーインタフェース)”の進化版を紹介した。同UIは「ET/IoT Technologyアワード」の優秀賞を受賞している※)。
※)関連記事:会場で要チェック「ET/IoTアワード」受賞社決定
NECの腕を仮想キーボードにするUIのデモ。本来はスマートグラスで両手を開けた形での運用を想定しているが、展示では誰もが見えやすいようにタブレットを使用している。赤丸部分がスマートグラスから見える映像。(クリックで拡大)
NECの“腕をキーボードにするUI”は、スマートグラス用の新しいユーザーインタフェースで「ARmKeypad(アームキーパッド)」という。2015年11月に発表し、製造ラインでの作業支援などの実証試験を重ねてきた。
同技術はスマートグラスとスマートウォッチを連携させ、スマートウォッチに表示した2次元バーコードをトリガーとし、作業者の前腕にスマートグラス越しに仮想キーボードを表示させるというもの。前腕部に表示させた仮想キーボードを認識領域とし、スマートグラスのカメラでとらえた映像から、腕への接触と非接触の状況を認識し、キーボードへの入力を行う。作業者にとっても接触と非接触の判断がつきやすく、操作しやすいという点が利点となっている。
同社では2015年11月の発表後、さまざまな提案を進めてきたが現在は製造ラインの作業支援用で実証を進めているところだという。「スマートグラスを持ちいることで空いた両手をふさがせることなく入力できるインタフェースを考えて開発した。タブレットなど入力デバイスを取り出す必要がない他、レイアウトなども自由に作成できる」とNEC SI・サービス市場開発本部のスマートデバイスSI技術センター 主任の則枝真氏は述べている。
物流や医療向けなど製造業以外の対応業種を拡大
現状では製造業での反応が良いというが、今後はさらに対応業種を拡大していく方針。今回のET展でのデモでは、物流拠点での選別作業を意識。また医療業界向けへの対応として、非接触でも認識できるプログラムなども既に開発できているという。
則枝氏は普及への課題として「既に中心になるソフトウェア技術については一定レベルまでは仕上がっている。課題として大きいのはスマートグラスへの抵抗感である。スマートグラスが違和感なく使えるというような機運が生まれてくれば、さらに利用領域が広がると期待している」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 腕を仮想キーボードにする操作UI、操作に手応えも
NECが作業者の腕を仮想キーボードにする、ウェアラブルグラス用の新しいUI「ARmKeypad」を開発した。腕へのタッチで入力判定を行うため、操作の手応えを作業者が得られるメリットも。 - あらゆる機器をIoTデバイスにするUIエンジン「paneE」
ACCESSは組み込み機器に、ネットワーク対応機能とタッチパネル操作機能を付加できるUIエンジン「paneE(パネイー)」の提供を開始した。 - 会場で要チェック「ET/IoTアワード」受賞社決定
優れた組み込み技術や製品、ソリューション、サービスに対して表彰する「ET/IoT Technologyアワード」の受賞社を組込みシステム技術協会が発表。2016年11月16日から開催される「組込み総合技術展 Embedded Technology 2016/IoT Technology 2016」の各出展社ブースで展示される。 - 世の中にないものこそ、早く出せ!――スマートグラスで市場を創るセイコーエプソン
2016年6月3日に開催されたMONOistセミナー「大手とベンチャーが語る『開発スピードが生み出すオンリーワン製品』」。セイコーエプソンが登壇し、新たな市場を創設したシースルーHMD「MOVERIO」の開発について語った。 - 高速道路の騒音でも実用的な音声認識、スマートグラスと現場へ
アドバンスト・メディアが「IoT/M2M展」に展示しているウェアラブルグラスは「高速道路の高架下ぐらいの音量があっても、問題なく音声で入力できる」音声入力機能を搭載。現場での“真のハンズフリー”を実現する。 - ウェアラブルデバイスが変革する生産現場・保守現場の未来像
「第25回 設計・製造ソリューション展(DMS2014)」では、ウェアラブルデバイスの活用により生産や保守の“現場”を革新するさまざまなソリューションが出展された。「現場×ウェアラブル」で何が起ころうとしているのか。