トイレのスマート化から始められる!? IoT活用は「フェールファーストで実現を」:製造業IoT(3/3 ページ)
ユニアデックスは、IoT(モノのインターネット)の活用に関する取り組みについて説明した。同社の山平哲也氏は、IoT活用のアプローチとして「Fail Fast(フェールファースト)で実現を」と説き、トイレの個室をスマート化する「スマートトイレルーム」などさまざまな活用シナリオ/デモを紹介した。
最もクレームが多いトイレをスマート化する
3つ目の「安心の見守り」は、介護施設における被介護者の見守りに用いるシステムだ。センサーには、インフィック・コミュニケーションズが開発した、睡眠時間や温度、湿度、運動量、照度などを検知できる「CareEye」を用いる。現在は、介護施設で実証運用中で、センサーデータによる見える化だけを行っている段階。今後は分析を用いた応用の段階に入りたい考えだ。
4つ目は「スマートトイレルーム」である。これは、施設の設備提供者にとって、最もクレームが多い設備の1つがトイレという事実が背景にある。水漏れ、汚れ、喫煙などさまざまなトラブルがあるものの、カメラでの監視ができず、早期発見が難しいため、最終的にクレームからトラブルが発覚するためだ。
そこで個室トイレの扉の開閉データをリアルタイムに検知するシステムを構築。この開閉データから、個室トイレの利用時間、利用回数などを把握すれば、トラブル発見につなげられるというのだ。システム構成はかなりシンプルで、市販しているIoTスタートキットをほぼそのまま適用している。
「スマートトイレルーム」の管理画面。「使用中」と「空室」という表示以外に、使用時間も赤い目盛で示されている。使用中の個室が10分経過するごとに目盛が1つ増加し、3目盛(30分以上)になると真っ赤になる。27階右側の個室2つがなかなかすごいことに……(クリックで拡大)
ユニアデックスオフィスの男子用トイレで運用したところ、1人当たりの平均利用時間が約6分という結果が出た。一方、海の家の仮設和式トイレで運用したところ、1人当たりの平均利用時間は1分32秒だったという。「ビルの各階でどの個室が空いているかを確認できるなど、活用方法はいろいろある」(ユニアデックス)という。
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