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IoTが製造業のサービス化を呼ぶ?製造業のためのサービスビジネス入門(1)(1/2 ページ)

モノ売りからコト売りへ――。IoT(モノのインターネット)の進展により、一昔前に製造業の周辺で言われてきたサービスビジネス拡大の動きが本格的に広がりを見せ始めています。しかし、「モノ」を主軸としていた製造業が「コト(サービス)」を中心としたビジネスモデルに切り替えるのは容易なことではありません。そこで本稿ではサービスビジネスの基本的な話を分かりやすく解説していきます。

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 年始を迎え、「福袋」の購入に行列を作るというのが恒例の光景となってきました。近年の福袋は種類も多様になってきており、製品ではなく1日店長や職業体験など、体験をパッケージ化したものまで登場しているといいます。物質的な豊かさから精神的な豊かさにスポットが当たっている近年の傾向を象徴する現象なのかもしれません。

 製造業を振り返ってみてもこれらの傾向は明確になってきています。「モノ売り」から「コト売り」へというキャッチフレーズが叫ばれるようになってから久しいですが、実際に製品販売以外の事業プロセスから獲得する売上高が業績に大きく関わるような企業や部門も増えてきました。「ビジネスモデルの再構築」としても重要な課題と捉えられるようになっています。

IoTで加速する製造業のサービス化

 製造業のサービスビジネスの展開において、特に重要視されているのが製品販売後のアフターサービスでいかに顧客満足度を上げ、継続的な取引を行うかという点です。この製造業のアフターサービス事業再構築の動きを加速度的に高めているのが「IoT」です。

 IoTという文字を見た時、恥ずかしながら筆者は最初、新種の顔文字かと思っていました(笑)「IoT」とは「Internet of Things」の略で、単純訳すると「モノのインターネット」という意味になります。通信機能を保有するさまざまなモノがインターネットを介して各種情報を受発信し、その情報をもとに分析を行ったり、自動制御や遠隔制御を行ったりということを意味します。

 これらを活用して成功した有名な例として、建設機械・重機メーカー コマツの「KOMTRAX(コムトラックス)」があります。これは建設機械に取り付けたセンサーならびに通信機器から機械の稼働時間、故障履歴、燃料残量、現在位置、などの情報を収集し、適切なタイミングでメンテナンスサービスを提供するというものです。また、遠隔操作によりエンジンを停止させることができるため盗難などの予防効果もあり、顧客にとっては盗難保険のかけ率を下げられるなどのメリットも提供しています。

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IoTが実現するアフターサービスのイメージ図(クリックで拡大)※出典:ジェムコ日本経営

 このようにこれからIoTはビジネスに欠かせないツールとなってきており、多くの企業がIoTを組み込んだ製品の開発や市場投入に取り組んでいます。ところが、ここで1つの課題があるように見ています。IoTは多くの注目を集めていますが、それを実現するモノの通信ならびに制御にばかり集中し過ぎており、モノを活用する利用者、消費者の視点が抜けてしまっているのではないかという点です。

 IoTが描く世界が実現すれば、メーカーは常に最終顧客とつながり続けることができます。つまり、今までにない形でサービスをビジネスにつなげることができるようになるのです。ただ、これらを実現するような新たなビジネスやサービスの形についてまで議論が進んでいないように感じています。

 そこで本連載では、あらためて「サービス」の基本について解説し、IoT時代が切り開く「新たなサービス」の本質に迫りたいと考えています。

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