定番IC「TA7291A」でバイポーラ型ステッピングモーターを駆動する:Arduinoで学ぶ基礎からのモーター制御(9)(2/4 ページ)
ステッピングモーターを制御する時、トランジスタで回路を組んでもよいのですが、制御用ICなどを用いる方が便利です。今回は定番IC「TA7291A」でバイポーラ型ステッピングモーターを制御します。
次の図はTA7291Pの内部回路を示したものです。
モーターを駆動する回路はNPN型のトランジスタ4個によるHブリッジが組まれています。これは前回紹介した回路と同じですね。またトランジスタにはモーターの逆起電圧からモーターを保護するため、エミッター・コレクター間にダイオードが入っています。このダイオードの役割は以前の記事を参考にしてください。制御する側(マイコン系)の電源とモーターを駆動する電源は別々に供給するようになっています。
次の図はTA7291Pの端子の説明をする表です。TP7291Pを正面からみて上から出ている放熱板が欠けているほうの足が1番ピンになります。そこからPタイプの場合、10本の端子が並んでいます。今回使うTA7291はPタイプですから、表中P列の端子番号を見てください。
上から説明すると7番ピンがVCCです。これはTP7291Pの制御系電圧ですが、マイコンと同じ電源電圧で大丈夫です。Arduinoで使う場合は5Vとなります。8番ピンVsはモーターを駆動する電源を供給します。ステッピングモーターは仕様により電圧が異なりますが、今回実験に使うステッピングモーターの場合は12Vです。ただしこの後に説明する最大定格の電圧を超えてはなりません。
VrefにはArduinoの電源電圧と同じ電圧をかけます。この場合5Vとなります。IN1とIN2は制御用入力端子で、ArduinoのGPIOを接続します。駆動したいモーターはOUT1とOUT2につなぎます。
次の図はTP7291Pの「最大定格」と呼ばれる表で、書かれている値はこれを超えるとデバイスが破損する恐れがあるとされる値です。
特に制御電源電圧、出力電流および許容損失に着目してください。この値を超えるような仕様のモーターを、TP7291Pで駆動することはできません。他タイプのTP7291に比べてPタイプは多少許容量が大きめですが、それはこのタイプのみ放熱板を有するからです。
手元のステッピングモーターのコイル間抵抗を測ってみた結果、約12Ωでした。これを12Vで駆動しますので、12V÷12Ωで1Aの電流が流れることになります。最大定格と比較してこの電流は問題ないですね。
今度はステッピングモーターの駆動に必要な電力を計算してみましょう。1A×12Vで12Wとなります。最大定格は12.5Wですので、これはギリギリOKなのですが、実際に製品に組み込む場合や長時間動作させる場合はもう少し余裕を持った設計にすべきですが、今回は実験ということで甘受しましょう。
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