追い風を受けるOCF、IoTを取り巻く各社の思惑にも変化:IoT観測所(24)(3/3 ページ)
OICを前身とするOCF(Open Connectivity Foundation)とThread Groupの提携が発表された。OCFとっては大きな追い風だが、各団体の顔ぶれをよく見ると各社の思惑に変化が起きていることも伺える。
さて、この話と直接絡むわけではないのが、もう1つ気になるのがThread GroupとOCFが協定を結んだ事である。発表文によればコネクティッドホームにおける相互接続性を担保する目的で“Liaison Agreement”を結んだ、とある(The Thread Group and Open Connectivity Foundation Create Liaison Agreement to Increase Application Connectivity and Choice in Connected Home)。
日本語訳すれば「連絡協定を結んだ」というニュアンスで、それほど強いつがりを持つわけではないが、公式にお互いが連絡し合える窓口を設けることに同意した、という感じだろう。
前身のOICも含めてOCFはTransport層は何でもアリという考え方であり、下の写真にThreadが入っていなかったのは、単にその時点でThreadが無かったから、という感じもしなくもない(下写真は2014のIntel Developer Forumで紹介されたもの)。
一方のThreadであるが、以前説明した様に基本はTransport層の仕様であり、ZigBeeをベースにメッシュネットワークを実現するプロトコルである(IoT観測所(3):メッシュネットワークをキーにIoTへ進む「Thread Group」)。
従って両者はきれいな補完関係にあるから、OCFとの連携は不思議ではない。また、ThreadはGoogleのBrilloでもサポートされており、その意味ではこの提携そのものに不思議は点はなく、AllJoynでもThreadは利用可能である。例えばNXP(というか、Freescaleというか)が公開しているこのビデオでは、Threadプロトコルを利用してAllJoynのフレームワークを稼働させている。
「QualcommがThreadにBoardとして加入」の意味
ただここにQualcommが2015年7月にThread GroupにBoardとして加盟している事実を加味すると、異なった意味合いに聞こえてくる。話を蒸し返すようだが、QualcommはAllSeen Allianceを立ち上げた当事者であり、AllJoynもまた物理層には依存しない事をうたっている。なので、Threadをサポートするのは問題ないし、上に書いたように既にThread上でAllJoyn Frameworkが稼働するデモすら存在する。
ところでQualcommはいわずと知れたスマートフォン向けのプロセッサとモデムのベンダーであるが、同社はWi-Fi/Bluetoothはソリューションとして提供するがIEEE 802.15.4は今のところ対応していない。これがゆえに、当初のAllJoynのデモはほとんどがBluetoothないしWi-Fiで行われていた。今後、Threadベースの製品が増えてきた場合にQualcommはどう対処すべきか。
理屈ではQualcommが自社モデムにIEEE 802.15.4のサポートを追加すればいいのだが、これにはコストもかかるし普及に際しても時間が必要だろう。であれば、IEEE 802.15.4のサポートはOCF側に任せしてしまい、Qualcommベースの製品は先にMicrosoftが紹介したようにブリッジ経由でThreadのデバイスに接続するとすれば、IEEE 802.15.4の対応を急がなくてもThreadデバイスを利用できることになる。
さすがにこれはちょっとうがちすぎなのかもしれないが、さまざまな標準規格が提携してゆくと、こうしたアプローチもありえる様に筆者には考えられる。
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