バイポーラ型ステッピングモーターの制御:Arduinoで学ぶ基礎からのモーター制御(8)(2/5 ページ)
精密制御に欠かせないステッピングモーター。今回はバイポーラ型ステッピングモーターについて、その制御をマイコン(Arduino)から行います。
トランジスタで駆動回路を作る
ステッピングモーターの駆動とは、言い換えれば「電圧の極性を替える操作」ですから、第4回で紹介した「Hブリッジ回路」がそのまま応用できます(基礎からのマイコンモーター制御(4):困ったら読みたいマブチモーター制御のTips)。
バイポーラ型のステッピングモーターは操作するコイルが2つありますので、このHブリッジを2つ組み合わせます。ブラシ付き直流モーターの正転・逆転の制御回路ではPNP型トランジスタとNPN型トランジスターを組み合わせたコンプリメンタリーでHブリッジ回路を構成しましたが、今回はNPN型トランジスタのみでHブリッジを構成します。
それでは駆動回路の動作を見てみましょう。
全てのスイッチが開いているときはトランジスタは1つも導通しないので、モーターの双方のコイルには電流は流れません。S1が閉じて他のピンが開いている場合はトランジスタQ1とQ4が閉じます。結果としてモーターのコイルのA-1からA-2に向かって電流が流れます。
S3のみが閉じた場合はトランジスタのQ5とQ8が閉じますので、コイルのB-1からB-2に向かって電流が流れます。S2のみが閉じた場合はトランジスタのQ3とQ2が閉じますのでコイルのA-2からA-1に向けて電流が流れます。
S4のみが閉じた場合はトランジスタのQ7とQ6が導通します。コイルのB-2からB-1に電流が流れます。
次の表は以上の動作をスイッチの状とコイルにかかる電流の向きをまとめました。1がスイッチが閉じた状態、0がスイッチの開いた状態を示しています。
スイッチ | 状態 | ||||
---|---|---|---|---|---|
S1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 |
S2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 |
S3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 |
S4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
電流の向き | 流れない | A-1からA-2 | A-2からA-1 | B-1からB-2 | B-2からB-1 |
スイッチをS1 → S3 → S2 → S4の順に押すと,ステッピングモーターの軸は回転します。またこの逆の順番でスイッチを押すと、軸が先ほどの向きとは逆に回転します。
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