三菱電機が第4次産業革命で変えること、変えないこと:製造業×IoT キーマンインタビュー(4/4 ページ)
IoTがもたらす革新は、製造業にどういう影響をもたらすのだろうか。FA大手の三菱電機は、IoTによる製造現場の革新に危機感を持って立ち向かう。三菱電機 執行役員で、FAシステム事業本部 e-F@ctory戦略プロジェクトグループ プロジェクトマネージャーの山本雅之氏に話を聞いた。
自動化とAIは人間を支援する存在にとどめるべき
MONOist IoTによる「つながる工場」化が進み人工知能の活用などが進めば、自動化の領域が広がり、人の働く場が失われるというような心配も出ています。
山本氏 人工知能(AI)については三菱電機も研究所で研究しているが、個人的な見解としては全てを人工知能にまかせるような行き過ぎた人工知能化や、行き過ぎた自動化については反対だ。「判断」をAIにさせるような状況は間違いだと思う。機械学習などでAIに全てをゆだねたときに、その判断をなぜ、どういうプロセスで行ったのかということが分からなくなる。人が把握できないということはそれはまさに「暴走」そのものだともいえる。あくまでも人の支援や、人ができないことを補完するということが中心であるべきだと考えている。
MONOist 機器がつながりIoTにより作業データが収集されてノウハウなどがアプリとして提供できるようになれば、FA機器もスマホのようにアプリベースで動くような存在になるのでしょうか。
山本氏 スマホまではならないとは考えるが、機能のモジュール化は進んでくると考えている。現在は「こんなことができる」や「あんなことができる」という状況だが、そのうち手段の方が多くなり、選択のフェーズに入ってくる。ユーザー企業にとっては「何をやりたいのか」が本当に重要になる。そのやりたいことに最適な手段を選んでいくという世界になってくるだろう。
こうした中で三菱電機でもIoTの本質をとらえた活動を進めていきたい。先述したように「モノづくり」としての本質は変わらない。しかし、変えなきゃいけないところも間違いなく存在する。変革すべきは変革して確実にチャンスをつかんでいく。取り巻く環境に対する危機感は強く持っているが、踊らされすぎてもいけない。本質を見定めていきたいと考えている。
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