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「ソニーも最初は町工場だった」IoT革新は中小製造業が起こす製造業×IoT キーマンインタビュー(4/4 ページ)

米国大手企業が中心となって設立し、現在では世界各国の企業が200社以上参加するインダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)。産業用IoT(IIoT)の社会実装を目指す同グループは何を目指し、どういう取り組みを進めているのだろうか。エグゼクティブディレクターであるリチャード・ソーレイ氏に話を聞いた。

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IIoTの成功のカギは中小企業が握る

MONOist IICでの活動から見て、日本の政府の取り組みはどのように見えていますか。

ソーレイ氏 基本的には世界のさまざまな国と同じような状況にあると見ている。「遅れている」や「まとまっていない」などの指摘があるようだが、そうしたことはどこの国でも起こっていることだ。進んでいるといわれているドイツでさえ、数年にも及ぶ取り組みの中でさまざまな改変を行って今の形にたどり着いている。IoTは非常に多くの産業や職域に影響を与えるため、誰にとっても正解となる回答は得られいないのが現状だ。日本政府の取り組みもその場その場で最適な形を模索していくしかないだろう。

MONOist IICに参加している日本企業の状況についてはどう見ていますか。

ソーレイ氏 それも世界のさまざまな企業の状況と変わらないといえる。つまり、約半分が積極的な活動を行っており、約半分は「どういうことか」と情報収集を行っているという状況だ。熱心な活動を進めている企業からはさまざまな新しい発信が出ている。

MONOist 日本からは特に中小企業の参加が少ないと聞きました。

ソーレイ氏 それは、その通りだ。IIC全体でいえば、参加企業の半分が大企業、半分が中小企業という構成となっている。しかし、日本からの参加企業はほとんどが大企業である。こうした状況は非常に残念だ。

 日本の中小企業には、60年前のソニーの話をぜひお伝えしたい。ソニーがトランジスタラジオを爆発的にアメリカで売った時の話だ。当初は故障が非常に多くて苦戦していたが、最終的にパナマ運河を越えて輸送していた時に高温多湿で部品が壊れていたことを突き止め、故障問題を解決し、米国で大成功した。この時のソニーはまだ町工場から抜け出ようとしていた時代だった。個人的にこのエピソードは大好きな話だ。

 IoTも中小企業にこそ大きなチャンスがあると考えている。革新はいつでもベンチャー企業や中小企業から生まれるからだ。今は日本の中小企業の参加は少ないが、ぜひこれをチャンスと捉えて参加してほしいと考えている。

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