IoTセンサープラットフォーム「M2.COM」の目指すビジョンと懸念点:IoT観測所(22)(2/3 ページ)
IoTサービスの開発速度を妨げる要因の1つに、センサーやセンサーノードモジュールの規格不在、クラウド接続への包括的なサポート不足が挙げられる。この解消を狙うのが、Advantechらが中心となる「M2.COM」だ。その概要と現在の懸念点を確認する。
M2.COMのビルディングブロック
さて、M2.COMのハードウェアというかメカニカルな部分はM.2のコンポーネントを利用した独自規格な訳であるが、ビルディングブロックとしてはどうなっているのか?という話がこちら(Photo02)である。
M2.COMモジュールは、ハードウェアとしてはARMのCortex-Mをベースに、そこにさまざまなConnectivityを持つモジュールを利用できるようにしている。センサーI/OとしてはI2CとSPI、UARTの3種類が基本になっているようであるが、先に書いた通りCAN(UARTと排他利用)やADC、USB 2.0、GPIOなども含まれているので、将来的にはこれらを利用することも可能と思われる。
一方でソフトウェアであるが、まず念頭においているのはARMのmbed OSの様だ。別の資料によれば、Wind RiverのRocketやFreeRTOSなども含まれており、まずはmbed OSをベースにインプリメントを行うが、後にそれ以外のOSにも対応してゆくという事ではないかと思われる。
では何をインプリメントするか?というと、Sensor Hub SoftwareとIoT Agentである。Sensor Hub Softwareはハードウェア側の“M2.COM Sensor I/O Interface”に対応した標準的なAPIを提供するものと思われる。一方のIoT Agentは肝となる部分である。
M2.COMではクラウドサービスとして、やはりAdvantechが提供するPaaS「WISE-PaaS」を前提としている。WISE-PaaSは複数のサービスを用意しているが、その中でもリモートモニタリングと機器管理に向けたWISE-PaaS/RMMがM2.COMで利用できるサービスという事になる。
つまるところ、M2.COMは「WISE-PaaS/RMMを簡単に利用できる様にするためのインフラ」という考え方でそう間違ってはいないと思う。
現状プロセッサがARM、OSがmbed OSに絞られているのは、AdvantechがこのWISE-PaaS/RMM対応となるIoTエージェントのインプリメントを行う最初のターゲットだから、という話と思われるし、これに続きRocketやFreeRTOSにもSensor Hub SoftwareやIoT Agentのインプリメントが行われる事になると思われる。逆に言えば、mbed OS「のみ」で提供されるような機能はほとんど使わないと想像できるので、将来的にはMIPS32コアなどを利用することも「技術的には」可能であろう。
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