5Gが達成を求められている、技術上のマイルストーン:SYSTEM DESIGN JOURNAL(2/5 ページ)
「第5世代移動通信(5G)」への期待と要求は高まっていますが、そのウイッシュ・リストの内容はさまざまです。リスト内容を取捨選択する(恐らく)最上の方法は、5Gについて考えているエンジニアが、既に少なくとも3カテゴリ存在するのを認識することです。
太いパイプ
パイプを太くする方法は基本的に2つあります。さらに巧妙かつ高水準のコーディング方式でビットを詰め込むか、または各チャネルに割り当てる帯域幅を広げることができます。または、フレームを長くしてオーバーヘッドを簡素化することにより、少なくとも原理的にはデータストリーミングの効率をいくらか向上させることができます。これらの選択肢は、いずれもネットワーク全体に影響を与えます。
Alteraのワイヤレスアプリケーション専門家であるRichard Maiden氏によれば、波形とコーディング方式を強力にすることは可能ですが、既存の周波数帯では使用できない場合があります。
Maiden氏は「ベースバンドアルゴリズムはよく分かっていません。今のところ、2.5GHz帯まで波形は変わらないようです。2.5〜10GHzでは、いくらかの波形変化によってスペクトル効率が改善されるかもしれません。スペクトルがあらかじめ割り当てられているため、パイプを太くしても2.5GHz未満では波形は変わりそうもありません。2.5〜6GHzには軽免許(light licensing)しかないため、100〜200MHz程度のチャネルを配備できます。新しい28〜60GHz帯は現時点で白紙であるため、ここに極めて広いチャネルを配備できるかもしれません」と注意しています。
Maiden氏が示唆するように、これらの新しい高周波数帯はチャネルあたりの帯域幅の拡大という別の機会を提供します(図1)。しかし、それにも代償を払う必要があります。
新しい周波数帯を使用するにはRF回路とアンテナを追加する必要があります。とりわけ送信機にデジタルプリディストーションを使用する必要がある場合、ベースバンドデータコンバータのサンプリングレートと(恐らく)解像度も上げる必要があります。ベースバンドユニットの高速フーリエ変換は、広くする、レイテンシを低くする、またはその両方の必要があります。
さらには物理的な制約もあります。Maiden氏は「RF伝播特性は周波数が高くなるにつれて悪化します」と述べています。60GHzのRFは、壁はもちろん湿度の高い空気さえよく通りません。「太いパイプは、高い周波数では短いものにします。60GHzを最大限に活用するには多くの短いパイプが必要です」とMaiden氏は要約しています。
多くのパイプ
エンドポイントへの帯域幅を広げる別のアプローチは、複数のチャネルを並列に使用して集約し、パケットをユーザーに届けるものです。実際、LTE-Advance(LTE-A)はキャリアアグリゲーション(CA)を既にサポートしています。
一方、5Gはこのアイデアをはるかに推し進め、小型セルからの数チャネル、セル中継塔からの1チャネル、1つのWi-Fi接続を組み合わせるなど、異なる周波数帯や異なる種類のデバイスからのキャリアアグリゲーションを可能にします。これらのアイデアは全て、今日のLTE-Aに隠されていますが、広く配備されているわけではありません。
アグリゲーションには2種類の課題があります。最初の極めて明白な課題は、ネットワークとエンドポイントの両方が必要なデータレートを処理しなければならないことです。今日の携帯電話機のアーキテクチャは、ベースバンドプロセッサやアプリケーションプロセッサで10Gbpsを処理することを意図していません。従って、携帯電話機メーカーは、ネットワークのニーズを満たすことができる次世代デバイスを開発する必要があります。
基地局はさらに厳しい状況にあります。通過するデータ量が増え、複数パイプに分割される中、正しいパケットシーケンスのいくらかの外観を維持しながら携帯電話機に届けなければなりません。
また、大きくなるネットワークの管理という問題もあります。携帯電話機の単一データストリームは、1つまたは2つのマクロセル中継塔とわずかな小型セルに分割できます。ミリ波帯で動作する可能性が高い小型セルでは、自動車は言うまでもなく移動中の携帯電話機への接続もかなり不安定であり、急激にシフトするチャネル特性に対応して接続を頻繁に再構成する必要があります。
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