5Gが達成を求められている、技術上のマイルストーン:SYSTEM DESIGN JOURNAL(1/5 ページ)
「第5世代移動通信(5G)」への期待と要求は高まっていますが、そのウイッシュ・リストの内容はさまざまです。リスト内容を取捨選択する(恐らく)最上の方法は、5Gについて考えているエンジニアが、既に少なくとも3カテゴリ存在するのを認識することです。
5Gに期待する、3つのエンジニアカテゴリ
「2020年までに5Gワイヤレス・ネットワークを配備する」が、研究所からサービスプロバイダーまでの共通目標になり、ほとんどスローガンになっています。これは目標として研究開発活動のあらゆる方法を正当化しますが、スローガンとしては定義を全く含んでいません。そもそも、5Gとは何でしょうか。5Gを配備するにはどのような問題を解決しなければならないでしょうか。
一見すると、5Gは「4Gの次世代にあたる携帯電話技術」であると簡単に定義付けられるように思われます。しかし、その裏には、自社の製品計画を何とか推進してネットワークが自社サービスをサポートするようにしたり、単純に陳腐化を回避したりしようとする多くの利害が絡む現実的な事情が隠されています。関係者の声には、多種多様なウィッシュリストへの要求が入っています。
5Gについて少しでも考えたことがあるモバイルユーザーは、5Gを各種デバイスでさまざまな環境に持ち運べるHD映画、ゲーム、VRの完璧な提供手段であると想像しています。そのようなサービスは以下の性質を持っています。
- エンドポイントに10Gbpsを超える帯域幅を提供
- どのエリアにも4Gの1000倍の帯域幅を提供
- どのエリアでも4Gの10〜100倍の台数のデバイスが動作
- 99.999%の可用性の認識とユビキタスな地理的サービスエリア
これはモバイルユーザーの視点から見た特徴です。ネットワークアーキテクトは、このリストを見て以下の事項を書き加えるかもしれません。
- ビットあたりネットワーク消費電力量を90%削減
- 使用可能なスペクトルとアクセスネットワークを越えた帯域幅アグリゲーション
- 異なる無線アクセスネットワーク間のスイッチング時間が10ms未満
- 動的スペクトル配分、ピア・ツー・ピア接続、自動バックホール機能
ユーザーとアーキテクトがこの議論に注意を向けているところに、IoTに関係する開発者はさらに以下のような独自のニーズを追加するかもしれません。
- 1ms未満のラウンドトリップ・レイテンシ
- ネットワーク上の単純なデバイスのバッテリー寿命は最大10年
- 工業グレードの機能安全性とセキュリティ
さまざまな期待を取捨選択する(恐らく)最上の方法は、既に5Gについて考えているエンジニアが少なくとも3カテゴリ存在しているのを認識することです。
最初のエンジニアは、5Gを4Gサービスより広い帯域幅でさらに多くのユーザーに提供される優れた拡張版と考えています。2番目のエンジニアは、5Gを単一のワイヤレスネットワークではなく、短距離、超小型セル、Wi-Fi、携帯電話といったほぼ全てのワイヤレス接続の統一体と考えています。そして3番目に、この統一されたネットワークによって省エネ、低レイテンシ、信頼性、セキュリティなどのIoTシステムの要件を満たしたいと考えるIoT開発者がいます。
これらのグループはそれぞれ独自のウィッシュ・リストを持っています。各リストについて、5Gが達成しなければならない技術上の具体的なマイルストーンを特定していきましょう。
映画の視聴
多くのユーザーは、サービスプロバイダーが4Gで既に約束していた、ホットスポット間でのWi-Fiライクの帯域幅が5Gで提供されるのであればうれしいと考えるでしょう。そのようなユーザーは、フットボールの試合の結果を見たり、2314回目に見た『アナと雪の女王』のエンドロールが始まる前に子供を車に乗せたりしたいだけです。
欲張りな消費者に提供できるロケーションベースの動画や拡張現実を想像して、この帯域幅をぜひ手に入れたいと考えるベンダーもいます。サービスプロバイダーは、Wi-Fiに奪われた収益の一部を取り返したり、家庭のケーブル接続やDSL接続をやめさせたりすることさえ想像している可能性があります。
しかし、とりわけ密度が高い都市部の市場にこの種類の帯域幅を提供するには、レガシーなワイヤレスの前提事項の多くを打破する必要があります。エンドポイントへの連続転送レートを高めるには、パイプを太くする、またはパイプの本数を増やすという2つの選択肢があります。いずれのオプションも5Gに関係があります。
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