工場を止めないネットワークの基本機能と、ハブとスイッチの違い:工場用イーサネット入門(4)(4/4 ページ)
インダストリー4.0や工場向けIoTなどに注目が集まっていますが、そもそも工場内のネットワーク環境は、どのように構築すべきなのでしょうか。本連載では、産業用イーサネットの導入に当たり、その基礎から設備設計の留意点などを含めて解説していきます。第4回では、工場用イーサネットでも使うハブとスイッチの違いに焦点を当てながら、「基本的なネットワークの機能」を解説します。
L3スイッチ
スイッチを使ってこのようなネットワークを構築する場合は、既に紹介したスイッチの機能の他に、LANやVLAN間を接続するためのルーター機能が必要となります。そこで、スイッチの機能とルーターの機能を1つのネットワーク機器で提供できるようにしたものが「L3スイッチ」と呼ばれるスイッチです。
ここまでL2スイッチとL3スイッチをご紹介しましたが、スイッチにはOSI参照モデルをベースに分類した機能に加えて、ネットワーク障害を予防するための対策や管理機能を持っています。いずれもネットワーク状態の監視やネットワークの冗長化、流れるデータの優先付け、ネットワーク不通を回避するための対策を備えています。これらをまとめて「インテリジェントスイッチ」(または、マネージドスイッチ)と呼びます。
前半でご紹介したハブではVLANといった概念はなく、当然ながらVLANを使って通信量を制御するといったことはできません。このインテリジェントスイッチが持つ詳細な機能については次回以降の連載で詳しく扱う予定です。
第5回:「工場のネットワークセキュリティ対策とは?」
筆者プロフィル
横山晴美(よこやま はるみ)
ネットワンパートナーズ マーケティング&ビジネス開発部
2009年より24時間稼働する自社内オペレーションセンターのシステムやネットワークを中心とした情報通信インフラ設備の企画・運用・管理を担当。近年では、製造業を中心としたIoTインフラ基盤の導入支援を中心に活動中。
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