ロボットの画像認識プログラム、機械学習で自動生成する技術が商品化:産業用ロボット
富士通は、「富士通フォーラム2016 東京」において、産業用ロボットなどの画像認識アルゴリズムを自動生成する技術を製品化し販売を開始したことを明らかにした。
富士通は2016年5月17日、同社のユーザーイベントである「富士通フォーラム2016 東京」(2016年5月19〜20日、東京国際フォーラム)の内覧会を実施。2014年9月に富士通研究所が発表した「画像認識プログラムを自動生成する技術」を製品化し、提供を開始したことを明らかにした。
製造現場ではプログラミングがボトルネックに
工場の生産ラインでは、カメラなどの画像技術を活用することで自動化を図る自動組み立て装置や自動検査装置が数多く稼働している。特に自動化領域の拡大が進み、画像認識を活用し「目で見て」位置情報や状態変化を認知するというようなニーズが高まっている。また、インダストリー4.0など、IoT技術を活用したより高度な生産自動化への取り組みが活発化しているが、数多くの製造装置や検査装置に大量のセンサーを設置するのは現実的ではないため、画像技術を活用しようという動きも広がりを見せる。
しかし、これらの生産ラインにおける画像認識については、従来は専門家がカメラ画像の処理プログラムを開発することが必要で、ライン構築に長い期間が必要だった。また稼働中に状況が変化した際、柔軟な対応が難しい点など、課題を抱えていた。そのため画像処理プログラムの自動生成技術が求められていたといえるのだ。
画像プログラムの自動生成で柔軟な生産ラインへ
今回、商品化した技術は2014年9月に富士通研究所が発表した技術で、機械学習を使い効率的な画像認識アルゴリズムの生成を自動生成できる技術である※)。同技術を活用することで、部品組み立ての位置認識の認識率が、50%未満だったものを97%以上に向上。さらに、画像認識プログラムの修正時間も従来比で10分の1に短縮することがトライアル段階では実証できたとしている。
※)関連記事:富士通研、生産ラインの画像認識プログラムを自動生成する“業界初”の技術を開発
これらをさらに製品化レベルに仕上げ、販売を開始した。現状では、画像関連のデータを富士通が受け取り、機械学習技術により最適なプログラムを短時間で作成し、それをユーザー企業に戻すという形だが「今後はパッケージソフトとしての提供も検討している」(ブース担当者)としている。
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