産業用ロボットのIoT化を加速させるファナック、シスコと協業し非稼働時間ゼロに:産業用ロボット(1/3 ページ)
ファナックとシスコシステムズは、産業用ロボットをネットワークに接続し、効率的な運用を推進できるように協業することを発表した。既に米国でパイロットプロジェクトを進行しており、期間中の産業用ロボットのダウンタイムをほぼゼロにすることに成功したという。
ファナックとシスコシステムズは2016年1月21日、IoTでの新たなビジネスモデル拡大を実現するために協業したことを発表した。製造業の工場内で稼働している産業用ロボットをネットワークに接続し、ダウンタイム(非稼働時間)ゼロを目指すという。
産業用ロボットやCNC(コンピュータ数値制御、Computer Numerical Control)、モーターなど工場用機器を展開するファナックでは、「壊れない、壊れる前に知らせる、壊れてもすぐ直せる」をキャッチフレーズに「止まらない工場」の実現を目指している。この止まらない工場の実現に貢献すると考えられているのが、産業用ロボットの知能化である。
産業用ロボットの知能化
産業用ロボットは、基本的にはプログラムした通りの動作を正確にこなすという役割を果たしてきた。そのため状況の変化に柔軟に対応するということが難しく、その都度プログラムや設定の変更が必要になっていた。産業用ロボットの知能化とは、産業用ロボットに「見る」「感じる」「考える」機能を付加することで、ロボットそのものが自律的に最適な判断を行い、工程変更などを行えるようにしたものである。
ファナックでは約20年にわたり、この産業用ロボットの知能化の研究を進めてきている。例えば、ばらばらに設置された医薬品を自動的に把握して整列させる「医薬品高速整列ロボットシステム」や、きっちりと施工が行われているかどうかを瞬時に判断しながら検査する「高速検査ビジョンシステム」、ロボット本体への接触を検知し人との共同作業を実現する「協働ロボット」、学習により振動を抑え高速化する「学習ロボット」などを開発。これらの活用により、工場の稼働率向上に貢献してきた。
ファナック専務取締役 ロボット事業本部長の稲葉清典氏は「自社工場への知能ロボットの導入により、チョコ停(一時的なトラブルによる設備の停止)時間は、10分の1に削減することができた」と成果について述べる。
しかし、知能化を進めた中でもチョコ停時間はゼロにするのは難しい状況が続いていた。
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