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日産が三菱自の筆頭株主に、「燃費不正で急きょ決めたものではない」エコカー技術(2/2 ページ)

燃費測定試験の不正で対応に追われる三菱自動車は、日産自動車から2370億円の出資を受ける。日産は2016年末までに三菱自の発行済み株式の34%を取得し、筆頭株主となる。一方で一連の不正に関する社内調査は思うように進んでおらず、国土交通省は「報告が不十分で遺憾。企業として存続したいなら、相応の姿勢を示せ」と尻をたたく。

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進まない社内調査

 三菱自動車は2016年4月20日、燃費測定試験に必要な走行抵抗値を測定する場合に、日本の道路運送車両法では認められていない方法を、複数の車種で採用していたことを発表した。このうちeKワゴン/eKスペース/デイズ/デイズルークスは、測定方法に不正があっただけでなく、複数測定した走行抵抗値のうち、低い数値を国土交通省に報告していたと述べた。

 これを受けて国土交通省は4月20〜22日に三菱自動車に立ち入り検査を実施。その後、三菱自動車は4月27日に会見を再度開き、軽自動車4車種のうち複数グレードで走行抵抗値を机上での計算のみで算出していたことを説明した。国土交通省も立ち入り検査で同様の実態を把握したが、実測していない走行抵抗値が報告されていたという、三菱自動車の説明とは異なる事実が明らかになった。

 4月27日時点の三菱自動車の報告が軽自動車4車種以外に及んでいないことから、国土交通省は5月11日に再報告を求めた。三菱自動車は販売中もしくは販売終了後の車種についても軽自動車と同様の不正がないか調査を進めたが、同日までに明らかになったのは、「RVR」など複数モデルで机上で計算した走行抵抗値を使用していた“可能性がある”というところまで。

 また、不正な走行抵抗値を使用することにより、正規の数値と比較してどの程度燃費に乖離が発生するかも調査中で、三菱自動車の測定では5〜15%の差になる見通しだ。

再報告でも「内容は不十分」

5月11日の会見で調査結果を説明する三菱自動車 社長の相川哲郎氏
5月11日の会見で調査結果を説明する三菱自動車 社長の相川哲郎氏

 国土交通省は三菱自動車の5月11日の報告に対し、「中身としては全容には遠く、遺憾に思う。なにかデータが報告されれば国として検証する余地があるが、そのデータが出てこない。走行抵抗値の“机上計算”がどういったものであるかも、きちんとした説明がない」と評価した。

 同省は5月18日までに、軽自動車を除くモデルについて不正が行われていたかどうか明確に説明する再々報告を求めた。

 同省では、走行抵抗値を測定する際に高速惰行法と惰行法でどのような差があるか、検証を進めている。また、4月28日には、燃費測定試験などで自動車メーカーが不正なデータを申告するのを防ぐタスクフォースを設立。5月13日にタスクフォースの第2回を開催、メーカーが提出するデータ項目を整理し不正防止策を検討する予定だ。

 「軽自動車4モデルの燃費が、本来の数値とどう違ったのかは国土交通省として明らかにすべき点だ。ユーザーは、燃料代にどの程度差が出るのか、エコカー減税の対象から外れるのかを不安に感じている。4車種でも複数グレードあるので確認すべき作業量は多いが、6月中に明らかにする。同じ不正が起きない制度を作るにはどうすべきか、タスクフォースを通じて明確にしていく」(同省 自動車局担当者)。

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