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三菱自の燃費不正、低燃費モデルで軽くした走行抵抗を基に他モデルは机上計算エコカー技術(1/2 ページ)

三菱自動車は、同社の「eKワゴン」「eKスペース」と日産自動車にOEM供給する「デイズ」「デイズルークス」の型式認証取得における燃費測定不正の問題について、国土交通省から受けた調査指示に基づく現時点までの報告書を提出した。

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 三菱自動車は2016年4月26日、同社の「eKワゴン」「eKスペース」と日産自動車にOEM供給する「デイズ」「デイズルークス」の型式認証取得における燃費測定不正の問題について、同年4月20日の問題公表時に国土交通省から受けた調査指示に基づく現時点までの報告書を提出したと発表した。2013年2月に型式認証を受けた、14型のeKワゴン/デイズの燃費訴求車で燃費測定を行う際に軽めの走行抵抗を設定していたことが確認されるとともに、他の車種/グレードやマイナーチェンジモデルについては実測で走行抵抗を測定せず、14型のeKワゴン/デイズの燃費訴求車に適用した軽めの走行抵抗を基にした机上計算の値を基に燃費を測定していたという。

燃費不正で販売中止となっている三菱自動車の軽自動車。ハイトワゴンタイプの「eKワゴン」(左)とスーパーハイトワゴンタイプの「eKスペース」(クリックで拡大) 出典:三菱自動車

 今回報告書の内容は3項目に分かれる。1項目目はeKワゴン/デイズ、eKスペース/デイズルークスの燃費試験データ不正の経緯である。

 新型車としてのeKワゴン/デイズの型式認証申請は2013年2月に行われている。この最初のeKワゴン/デイズが14型である。14型は、燃費訴求車、標準車、ターボ付車、4WD車という4種類の車両タイプで開発が進められていた。これらのうち燃費訴求車の燃費目標が社内会議を繰り返す中でより厳しい目標への上方修正されていった。コンセプト開発時点の2011年2月時点では26.4km/l(リットル)だったが、型式認証申請を行った2013年2月には29.2km/lとなっている。

 この14型の燃費訴求車の燃費測定において、国内法規で定められた「惰行法」と異なる「高速惰行法」で走行抵抗データを実測。惰行法であれ高速惰行法であれ、これらの走行抵抗データから中央値を取らなければならないが、燃費を良く見せるために走行抵抗の

低い値を選別し走行抵抗として設定した。

 さらに、標準車、ターボ付車、4WD車の残り3種類の車両タイプの走行抵抗データについては、実測を行うべきところを燃費訴求車の値を基に机上で算出したという。

 加えて、2013年10月に型式認証申請したeKスペース/デイズルークスや、eKワゴン/デイズのマイナーチェンジモデル(2014年3月申請の15型、2015年6月申請の16型)、eKスペース/デイズルークスのマイナーチェンジモデル(2014年12月申請の15型)の全車種で、14型eKワゴン/デイズの燃費訴求車を基に目標燃費に合わせて机上算出した走行抵抗データを申請していた。

燃費目標の上方修正はなぜ行われたのか

 14型eKワゴン/デイズの燃費訴求車の燃費目標は、2011年2月の26.4km/lから2013年2月には29.2km/lまで上方修正されている。この背景には、2012年夏ごろから始まったハイトワゴンタイプ軽自動車の燃費競争がある。

2012年秋から激しく燃費を争っていたスズキ「ワゴンR」(左)とダイハツ工業「ムーヴ」(右)。写真は当時のモデル(クリックで拡大) 出典:スズキ、ダイハツ工業

 2012年9月発売のスズキ「ワゴンR」は、eKワゴン/デイズの当初燃費目標を大幅に上回る28.8km/lを達成した。これは、新開発のブレーキ回生システム「エネチャージ」や、アイドルストップ時にも蓄冷材を通して冷風を室内に送れる「エコクール」の搭載によって、従来モデルの23.6km/lから22%向上するという画期的なものだった(関連記事:「ワゴンR」の燃費が新技術で28.8km/lに、時速13km以下でアイドルストップ)。

 その3カ月後となる2012年12月発売のダイハツ工業「ムーヴ」は、この28.8km/lを0.2km/l上回る29.0km/lを達成した。独自の低燃費技術をさらに進化させた「e:S(イース)テクノロジー第2弾」の搭載で実現したとする(関連記事:新型「ムーヴ」の燃費は「ワゴンR」以上、走行性能でも「N-ONE」に対抗)。

 14型eKワゴン/デイズの燃費訴求車の燃費目標が、ムーヴの29.0km/lから誤差範囲とはならない0.2km/l上回る29.2km/lになったことは予想に難くない。

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