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日産が三菱自の筆頭株主に、「燃費不正で急きょ決めたものではない」エコカー技術(1/2 ページ)

燃費測定試験の不正で対応に追われる三菱自動車は、日産自動車から2370億円の出資を受ける。日産は2016年末までに三菱自の発行済み株式の34%を取得し、筆頭株主となる。一方で一連の不正に関する社内調査は思うように進んでおらず、国土交通省は「報告が不十分で遺憾。企業として存続したいなら、相応の姿勢を示せ」と尻をたたく。

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 複数車種の燃費測定試験の不正で対応に追われる三菱自動車は、日産自動車から2370億円の出資を受ける。日産自動車は2016年末までに三菱自動車の発行済み株式の34%を取得し、筆頭株主となる予定だ。「軽自動車の企画/開発を手掛けるNMKVを設立して以来のパートナーシップを、さらに発展させる提携」(日産自動車)とし、日産自動車は三菱自動車をアライアンスファミリーの一員として迎え入れる。

 一方、一連の不正に関する社内調査は思うように進んでおらず、国土交通省は「調査報告が不十分で遺憾に思う。一企業として存続したいなら、相応の姿勢を示す責任がある」と2016年5月18日に再々報告の期日を区切った。

筆頭株主だが、三菱のブランドと自主性を尊重

 日産自動車と三菱自動車は2016年5月12日、横浜市内で会見を開き、戦略的提携の覚書を締結したことを発表した。提携の範囲は、購買、車両のプラットフォームの共用、技術開発の分担、生産拠点の共用、成長市場の開拓など複数に及ぶ。両社は2011年に軽自動車の企画/開発を手掛けるNMKVを折半出資で設立しており、過去5年にわたるパートナーシップを発展させる形とする。

eKワゴンデイズ 日産自動車と三菱自動車のパートナーシップ、NMKVで企画した「eKワゴン」(左)「デイズ」(右) (クリックして拡大) 出典:三菱自動車、日産自動車

 三菱自動車の2015年9月現在の筆頭株主は三菱重工業で、持ち株比率は12.63%だ。次いで三菱商事が10.06%、三菱東京UFJ銀行が3.91%を占める。三菱グループが26.6%を出資しているが、今回の提携によって日産自動車が筆頭株主となる。

 日産自動車は「三菱グループから提携に対する理解を得て、20%以上の出資比率を維持してもらうことを期待する」としている。また、三菱自動車のブランドを維持して歴史を尊重し、成長をサポートしていくことを強調した。三菱車の販売店も、従来通り三菱自動車が支援する。

 株式の取得は、規制当局の承認を経て2016年5月末に正式契約を締結し、2016年末までに手続きを完了させる予定だ。

「日産自動車に不正の責任はない」

 三菱自動車 会長の益子修氏は、燃費測定試験の不正問題を受けて急きょ決まった提携ではなく、自然な流れであったと説明した。日産自動車 社長のカルロス・ゴーン氏も、一連の不正は、提携を早めるきっかけにすぎないと述べた。

 三菱自動車の燃費測定試験での不正は、NMKVで企画して三菱自動車が開発/生産した軽自動車4モデルから五月雨式に判明した。三菱自動車が販売する「eKワゴン」「eKスペース」と、日産自動車が販売する「デイズ」「デイズルークス」が該当する。日産自動車がNMKVで手掛ける次期モデルの開発を主導することになり、デイズ/デイズルークスの燃費を測定し直したのが発端となった。

5月11日の国土交通省での会見に出席した三菱自動車の益子修氏
5月11日の国土交通省での会見に出席した三菱自動車の益子修氏

 益子氏は「日産自動車から燃費目標でプレッシャーがあった訳ではなく、日産自動車に責任はない」という。

 三菱自動車が2016年5月11日に国土交通省で開いた会見では、eKワゴンとデイズの燃費目標を26.4km/lから29.2km/lまで引き上げたのは競合モデルの燃費を強く意識した結果で、実際には達成困難な目標だったが根拠に乏しい安易な見通しに基づいて開発がスタートした……と説明。

 NMKV向けの軽自動車の開発で性能実験部の業務を委託していた子会社、三菱自動車エンジニアリングに対し、実務状況を確認しなかったのが原因の1つであるという。

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