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なぜドイツはインダストリー4.0を生み出す必要があったの?いまさら聞けない第4次産業革命(3)(4/4 ページ)

製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。しかし、そこで語られることは抽象的で、いまいちピンと来ません。本連載では、そうした疑問を解消するため、第4次産業革命で起こることや、必要となることについて分かりやすくお伝えするつもりです。第3回ではなぜドイツがインダストリー4.0を生み出す必要があったのかということを紹介します。

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上と下からの脅威はドイツだけにあることではない

 ドイツが抱えている脅威ですが、これを見て何か感じませんか。そう、とても日本の置かれている状況と似ているのです。

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ドイツが苦しんでいる「下からの突き上げ」と「上からのプレッシャー」について気付いたことはない?


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似ていますね。日本企業が置かれている状況に。


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その通りよ。日本もドイツと同様に製造業のGDP比率が高く、さらに人件費も高い。高齢化も進んでいて労働人口の減少に悩んでいます。製造業を取り巻く環境だけを見れば、ドイツと日本は世界の中でも珍しいくらいよく似た国同士だといえるわね。


 前回はインダストリー4.0が注目された理由について紹介しましたが、その背景としてそもそもドイツと日本が非常によく似た産業構造であるということも要因としてあります。「似たような国がこんなに必死なのに、日本は無策でいいのか」というような危機感ですね。

 ドイツ連邦政府は、この上下からのプレッシャーから抜け出すために、「人手によるセル生産」の柔軟性を持った「自動化」を実現しようと取り組みを始めたといえます。米国のIT企業は幸いにも製造業としてのノウハウはまだありません。彼らが先進技術を駆使してノウハウを確立する前に、彼らと同様の先進技術を使い、それに保有している製造業のノウハウを組み合わせることで、先に新たな製造業の姿を確立してしまおうというのがドイツの狙いだといえます。

 ドイツは、インダストリー4.0により「両面戦略」を狙っているといわれています。1つはドイツの製造業が自社でこの「優れたモノづくりの仕組み」を使って国際競争力を高め、輸出を増やし国内の雇用を増やすというサイクルです。もう1つが、この「優れたモノづくりの仕組み」そのものを輸出しようというものです。インダストリー4.0は2030年頃までを見据えた長い取り組みだといわれていますが、政府が旗を振り、着実に歩みを進めているといえるでしょう。

 こうした製造業を取り巻く環境と、ドイツの攻勢を受け、日本や米国も何もしないわけにはいかなくなってきました。次回はドイツ以外の製造業の団体活動について、紹介しようと思います。

第4回:「なぜ第4次産業革命を推進する団体が乱立しているの?

連載「いまさら聞けない第4次産業革命」の目次

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