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自動運転車のタイヤに求められることとは?タイヤ技術(2/2 ページ)

ブリヂストンは、栃木県那須塩原市のブリヂストンプルービンググラウンドで報道陣向けにタイヤ技術の説明/試乗会を実施した。タイヤがセンサーとなって路面の状態を判定する技術「CAIS(カイズ)」を搭載した車両や、次世代低燃費タイヤ「ologic」、運転時の疲労を軽減する「Playz」など、強みとする安全技術を実際に体験する機会を得た。こうした技術は自動運転車向けタイヤの開発にもつながっていきそうだ。

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自動運転車向けのタイヤとは?

 試乗会当日、ブリヂストンの技術者に対し、多くの参加者から「自動運転でタイヤはどう変わるか」と質問が寄せられた。

 ブリヂストン 中央研究所 研究第2部 操安・音振研究ユニット フェローの桑山勲氏は「現段階では自動車メーカーから具体的な話を聞いているわけではなく、当社として自動運転にどう貢献できるか考えている段階だ。ただ、自動運転システムの走る/曲がる/止まるという制御をしやすくするのは基本となるだろう」と話す。既に製品化したタイヤの技術も自動運転車向けに応用できる可能性があるという。

 例えば「自動運転中にタイヤがパンクして走行不能になることはあってはならない。隊列走行で複数の自動運転車が連なって走る場合は特に、パンクで列を乱すようなことがあるとトラブルになってしまう」(ブリヂストン 技術スポークスパーソンの原秀男氏)。このため、パンクしても一定距離を走行し続けることができるランフラットタイヤが自動運転車に向いていると見ている。

 また「自動運転車が普及すると、今よりもタイヤのメンテナンスに気を配るドライバーが減るかもしれない」(同氏)という。その点でもランフラットタイヤが役に立ち、CAISの路面状態の検知以外のもう1つの機能であるタイヤの摩耗の検知も安全性の向上に寄与すると見ている。

ランフラットタイヤはパンクしても走行できるよう、サイド補強ゴムが荷重を支える
ランフラットタイヤはパンクしても走行できるよう、サイド補強ゴムが荷重を支える (クリックして拡大) 出典:ブリヂストン
狭幅/大径のオロジックを装着した日産自動車の電気自動車「リーフ」。タイヤハウスいっぱいになるほどの大径タイヤだ
狭幅/大径のオロジックを装着した日産自動車の電気自動車「リーフ」。タイヤハウスいっぱいになるほどの大径タイヤだ (クリックして拡大)

 自動運転車であっても燃費の改善が求められると考え、低燃費タイヤ技術は引き続き需要があると見込んでいる。「エコタイヤは従来、転がり抵抗の低減によって曲がりにくく、止まりにくくなる傾向があった。オロジックは転がり抵抗と空気抵抗を低減しながら操舵特性も高めている。キレの良さや応答性、俊敏性の高さはシステムがクルマを運転する場合にも良い効果があるだろう」(桑山氏)。

 市販用タイヤのプレイズも、直進時や車線変更時の操舵角の修正の少なさという特徴を打ち出している。「ドライバーにとって運転しやすいということが、システムにとっても運転しやすいということになってもおかしくはない」(原氏)と予測を立てている。

 自動運転システムと技術的につながりの深い先進運転支援システム(ADAS)は既に普及しているが、「ADASに合わせてタイヤが大きく変わったということはなかった。タイヤの性能と関連が深かったのはABSくらいだった」(桑山氏)という。

グッドイヤーが提案する自動運転車向けのタイヤ
グッドイヤーが提案する自動運転車向けのタイヤ (クリックして拡大) 出典:グッドイヤー

 自動運転車であってもタイヤがさほど変わらない可能性がある一方、グッドイヤーは自動運転向けに機動性を高める球体のタイヤのコンセプト「Goodyear Eagle-360」を提案している。また、グッドイヤーはタイヤで路面状況を把握するコンセプトタイヤも発表した。路面状況を自動運転システムに伝達することで安全性を高める考えに基づいている。路面判定技術を実用化した点では、ブリヂストンのCAISが一歩先を進んでいる。

 自動運転技術が熟成されるに従って、タイヤの次の形も明確になっていくだろう。

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