「他に何ができる?」の答えがない人に限って、インダストリー4.0を否定する:IVI公開シンポジウム2016(2)(4/4 ページ)
日本版の「つながる工場」実現に向け、製造業、製造機械メーカー、ITベンダーなどが参加する「Industrial Value Chain Initiative(IVI)」は設立から約1年を迎え、これまでの取り組みの成果をシンポジウムで発表した。本連載では、同シンポジウムの内容を取り上げていく。今回はIVIの活動にも影響を与える、ドイツのインダストリー4.0の動向を説明した、IVIエバンジェリストであるアクセル・ザーレック氏およびベッコフオートメーション川野俊充氏の講演内容について紹介する。
インダストリー4.0とIICが連携へ
IoTの産業実装に向けては米国の大手企業が中心に設立したオープンな団体である「インダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)」がさまざまな活動を進めているが、2016年3月にはインダストリー4.0とIICのどちらにも所属しているロバート・ボッシュを通じ、インダストリー4.0と標準化で連携することが発表されている。
ザーレック氏は「インダストリー4.0とIICのフォーカスしているポイントは違っており、インダストリー4.0は製造業と生産により強くフォーカスしている。IICはさまざまな産業を視野に入れており補完的な活動ができると見ている」と述べている。
「他に方法はありますか」に答えられる人はいない
日本ではドイツが一枚岩になって進めているように見えるインダストリー4.0だが、実は「ドイツ国内でも批判や懐疑的な見方も存在する」とザーレック氏は述べる。実際に「インダストリー4.0は生産プロセスのみを対象としており、人の視点が考慮されていない機械主義的な視点だ」とした指摘や、「標準化は時間がかかり、時間をかけすぎることで米国に先を越されるのではないか」とした指摘、「投資対効果が得られるか分からない」など、さまざまな批判の声が生まれているという。
しかし、これらの批判に対しザーレック氏は「こうした批判に対して私の答えはいつも決まっている。『では、他に何か有効な手段がありますか』と聞くことだ。こう聞き返した時、批判する人たちは何も回答できない」と述べている。
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