連載
「他に何ができる?」の答えがない人に限って、インダストリー4.0を否定する:IVI公開シンポジウム2016(2)(3/4 ページ)
日本版の「つながる工場」実現に向け、製造業、製造機械メーカー、ITベンダーなどが参加する「Industrial Value Chain Initiative(IVI)」は設立から約1年を迎え、これまでの取り組みの成果をシンポジウムで発表した。本連載では、同シンポジウムの内容を取り上げていく。今回はIVIの活動にも影響を与える、ドイツのインダストリー4.0の動向を説明した、IVIエバンジェリストであるアクセル・ザーレック氏およびベッコフオートメーション川野俊充氏の講演内容について紹介する。
インダストリー4.0におけるセキュリティへの取り組み
インダストリー4.0ではセキュリティをテーマとした作業部会「Security of Networked Systems」もあり、現在も活動を続けている。活動のテーマとしては以下の5点を挙げている。
- セキュアな通信
- バリューチェーン参画企業に対する安全認証
- 製造環境におけるサイバー攻撃の検知と影響分析
- 「I4.0 Security」ガイドラインの中小企業への提供
- インダストリー4.0環境に適したセキュリティコンセプトと手法を一貫性を持って適用するスキルを持った管理者・従業員などの人材の育成に向け、知識や経験などの要件を定義
これらのセキュリティに必要な技術や知識を明確化することで、インダストリー4.0によるデータ連携の危険性を低減することを目指している。
ユースケースやテストベッドは200以上
既にインダストリー4.0では、200以上のユースケースが紹介されている。その内の35%がインダストリー4.0の実装に貢献する技術で、20%がHMI(ヒューマンマシンインタフェース)、15%がビッグデータやクラウド関連技術の活用によるものだという。
ザーレック氏は「将来的には工作機械や産業用ロボットが、スマートフォンのApp Storeのようなマーケットプレースから情報を入手して使うというような世界が訪れるかもしれない」と述べている。
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