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インダストリー4.0って何でこんなに注目されているの?:いまさら聞けない第4次産業革命(2)(4/4 ページ)
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。しかし、そこで語られることは抽象的で、いまいちピンと来ません。本連載では、そうした疑問を解消するため、第4次産業革命で起こることや、必要となることについて分かりやすくお伝えするつもりです。第2回と第3回ではきっかけを生んだドイツの「インダストリー4.0の意義」を2つの切り口から紹介します。
ドイツとのビジネス面での影響
では、2つ目は何ですか
2つ目はドイツ連邦政府の覚悟ね。2020〜2030年の完成を見据えて長期で計画的に取り組む姿勢を見せていることから、途中で投げ出したりしない。絶対に形になるだろうということが、特に日本企業の関心や危機感をあおったといえるわね。特に日本企業はドイツ企業と取引のあるところも多いしね。
あー、それなら分かります。取引先として納入先のドイツ企業からある日とんでもない製造要件が提示されるということがあり得るということですもんね。
実際に、ドイツの自動車メーカーなどから日本の部品メーカーに、ICTによる製造現場の管理手法を要求する動きが出ているケースなどもあるといいます。先述したイメージ喚起とは全く逆に、こうした「現実的な危機」により尻をたたかれるという両面での影響があり、IoTを活用した製造プロセス革新や、ビジネス革新に踏み出す動きが加速したといえます。
次回は「インダストリー4.0」がなぜ生まれたのかについて、国としての側面から紹介しようと思います。
第3回:「なぜドイツはインダストリー4.0を生み出す必要があったの?」
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