ブレーキ使わずに衝突回避する自動運転技術、三菱電機が開発中:自動運転技術
三菱電機は、ステアリングを自動操作して、ブレーキをかけることなく障害物を避けられる自動運転技術のアルゴリズムを開発した。時速60kmまでの速度で走行中に30m先の障害物を検知した場合、自動ブレーキで衝突を回避できないと判断するとステアリングの自動操作によって障害物を避ける。自動ブレーキで急停止すると後続車両に危険を及ぼす可能性もあるため、止まらずに“曲がる”衝突回避を提案する。
三菱電機は2016年2月17日、ステアリングを自動操作して、ブレーキをかけることなく障害物を避けられる自動運転技術のアルゴリズムを開発したと発表した。時速60kmまでの速度で走行中に30m先の障害物を検知すると、自動ブレーキで衝突を回避できない場合は自動ブレーキを作動させずにステアリングの自動操作で障害物を避ける。自動ブレーキで急停止すると後続車両に危険を及ぼす可能性もあるため、止まらずに“曲がる”衝突回避を提案する。現状は先行車両からの落下物を想定した衝突回避で、今後は歩行者などさまざまな対象であっても避けられるように開発を進め、早期の実用化を目指す。
開発したアルゴリズムは自動運転で障害物を停止せず避けることを目指したものだ。自動ブレーキで急停止することでも衝突を回避できるが「急停止することで後続車両に危険を及ぼしたり交通の流れを乱したりする可能性を考えると、曲がって障害物を避けることも必要」(三菱電機 説明員)との考えに基づく。
衝突回避とは異なる、追い越しのための車線変更の自動運転技術も開発している。ミリ波レーダーやカメラなどで自車の周囲を監視し、追い越し車線の車両とのタイミングを計りながら安全に車線変更する。また、車線変更による衝突回避だけでなく自動ブレーキも開発中だ。
既に先行車両が落とした積み荷を避ける制御に実車で成功している。開発したアルゴリズムは、時速60kmで自動追従している先行車両から積み荷が落ちると、カメラとミリ波レーダーが落下物として検出。センサーの情報から算出した落下物との距離や、落下物の移動範囲の予測を基に車両の制御を決定する。
アルゴリズムが衝突の恐れがないと判断した場合は車線を維持し、自動ブレーキでは衝突を回避できない際に車線変更して障害物を避ける。衝突回避の車線変更では、開発したアルゴリズムが車両の姿勢のデータを基に、姿勢が不安定にならない安全なステアリングの制御の指示を出す。
ステアリングの制御には、三菱電機が手掛ける電動パワーステアリング用モーターのノウハウが生かされているという。時速60kmまでの範囲であれば、乗員にとって不快な急ハンドルとなりにくい制御が可能だとしている。
実車での衝突回避に使用したセンサーはカメラとミリ波レーダーで、カメラは100m、ミリ波レーダーは200m以下の範囲で前方を監視する。カメラは他社製の研究開発用のものだが、ミリ波レーダーは三菱電機で開発した。前方監視用のカメラも同社で開発している。
今後は、より公道に近い幅の狭い車線や時速60km以上の速度域などの条件で、落下物以外が対象でも車線変更による衝突回避を可能にしていく。また、衝突回避の車線変更で、乗員が不安感や衝撃を感じにくい経路を生成できるようセンシングやアルゴリズムの精度を高める。
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