機械学習で車室内の雑音をシャットアウト:車載情報機器
三菱電機は研究開発成果披露会で、車内音声通話の雑音除去技術を展示。機械学習を利用しており、自動車内でハンズフリー通話を行う際などに走行音やワイパー音といった雑音を約96%除去できるという。
三菱電機は2015年2月17日、東京都内で開催した研究開発成果披露会で、車内音声通話の雑音除去技術を展示した。機械学習を利用しており、自動車内においてハンズフリー通話などを行う際に、走行音やワイパー音などの雑音を約96%除去できるという。
一般的に車室内の雑音は大まかに2種類に分けられる。1つが走行する自動車のタイヤの雑音など、一定レベルの大きさや抑揚で発生している定常雑音。もう1つが非定常雑音で、他の自動車とすれ違った際に発生する風切り音などが含まれる。既に定常雑音を取り除く技術は実用化されているが、変動の激しい非定常雑音については除去することが難しいとされていた。
今回三菱電機が開発した雑音除去技術は、雑音ではなく人が発する音声に着目しているのが特徴だ。人が生成する音声は、肺から出る呼気の強さや、声帯の振動によって決まる周波数などによって構成されており、雑音とは音声特性が異なる。三菱電機は人の音声生成のメカニズムの分析し、音声モデルを構築。この音声モデルと音声特性の差異を利用して、定常/非定常の雑音が混在する中から人の音声のみを抽出する機械学習技術を開発した。
人の音声のみを抽出することで、定常/非定常を問わずに雑音を除去できるという。三菱電機はこの技術を2018年までにカーナビゲーションシステムなどの車載情報機器に搭載することを目指す。また、「今回展示したのは車室内における雑音の中から人の音声を抽出する技術だが、工場など他の場所における雑音除去にも応用していきたい」(三菱電機 説明員)としている。
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