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航空機の組み立てをヒト型ロボットで、産総研とエアバスらが協力
産総研とエアバス、仏国立科学研究センターが、航空機内で組み立て作業を行う産業用ヒューマノイドロボットの共同研究を開始する。研究にはHRP-4などを活用する。
産業技術総合研究所(産総研)は2016年2月10日、エアバスグループの統合研究開発組織「AIRBUS Group Innovations」およびフランス国立科学研究センターと共同で、航空機内で組み立て作業を行う産業用ヒューマノイドロボットの研究を開始すると発表した。
航空機の組み立て製造工程において機内作業は高度な作業技術が必要ながらも、空間的な制約から作業者に肉体的負担をかける作業であり、共同プロジェクトでは、その作業を人間に似た体形と多様性を持つヒューマノイドロボットに置き換えることを狙う。
具体的な作業目的としては、組み立て時における機内清掃や計器類の取り付け、組み立て後に行う点検作業などが挙げられており、産総研のHRP-2やHRP-4などを開発プラットフォームとして利用する。航空機内組み立てという狭い場所での精密作業を手掛けることで、ヒューマノイドロボットの多点接触動作や全身制御についての技術開発も行う。
開発の成果はエアバスグループでの導入想定事例に基づいた検証が毎年行われ、EUの研究開発プログラム「Horizon 2020」とも協力していく。プロジェクトの拠点は産総研の情報・人間工学領域に設置し、代表は産総研 森澤光晴 主任研究員とフランス国立科学研究センター Adrien Escande 研究員が共同で務める。
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