ドライバーにエコドライブや危険への注意を促す、振動するアクセルペダル:安全システム
ボッシュは振動によってドライバーにさまざまな注意を促す「アクティブアクセルペダル」を開発したと発表した。ペダルを踏み込み過ぎた場合などに軽い振動でアクセルを緩めるよう知らせる。急カーブなど危険な状況も警告できる。パワートレインや運転支援システムなどと連携させることで環境性能や安全性を高める。
ボッシュは2016年2月5日、振動によってドライバーにさまざまな注意を促す「アクティブアクセルペダル」を開発したと発表した。ペダルを踏み込み過ぎた場合などに軽い振動でドライバーにアクセルを緩めるよう知らせ、ドライバーに燃料消費の少ない運転を促す。急カーブや逆走など危険な状況を警告することもできる。パワートレインや運転支援システムと連携させることで車両の環境性能や安全性を高められるとしている。
従来、燃費改善を意識した運転を実現するには、エコモードなどの走行モードの選択や、インストゥルメントパネルに表示するシフトチェンジの指示などの機能しかなく、ドライバーの心掛けによるところも大きかった。しかし、ドライバーのアクセル操作は燃費の約25%に影響を及ぼす。
アクティブアクセルペダルは、燃費への影響が大きいアクセルペダルの操作を最適なタイミング行えるようにするシステムだ。エンジンやパワートレインと連携しており、ペダルを振動させて、ドライバーに最適な操作タイミングを知らせることができる。ボッシュによれば、燃費が約7%改善し、CO2排出量の削減にも効果があったという。MT車であれば、トランスミッションの変速の最適なタイミングを振動で知らせる機能も実現できる。燃費向上に最適な加速をドライバーに知らせ、ドライバーの意思によってはシフトチェンジする前に加速することもできる。
また、ハイブリッド車とアクティブアクセルペダルを組み合わせるメリットもある。高速巡航中に不要な燃料噴射を避けるコースティングモードを使用できる状況や、モーターのみで走るEV走行からエンジン駆動に切り替わるタイミングを、ペダルの振動によって把握することが可能になる。ボッシュの試算では、これにより全走行距離の30%でエンジンを停止することができるという。
運転支援システムとアクティブアクセルペダルの連携も提案している。衝突警報システムと連携してドライバーがさらに加速しないように振動で警告したり、カーナビゲーションシステムと連携して急カーブへの注意を促したりする。さらに、前方監視用のカメラと組み合わせ、カメラが検出した標識を基に制限速度を順守するよう知らせることも可能だ。
将来的には、車車間/路車間通信やクラウド連携によって得た情報を基に逆走車や渋滞、交差点、進行方向で発生している危険な状況についてドライバーに通知できるようにしていく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「電動化」「自動化」「ネットワーク化」でボッシュが生み出すもの
世界トップクラスの自動車部品サプライヤであるRobert Bosch(ボッシュ)は、「電動化」「自動化」「ネットワーク化」という3つのキーワードで事業戦略を進めている。 - 「2020年代には自動車もモノのインターネットに加わる」、ボッシュ取締役が見解
大手ティア1サプライヤであるRobert Bosch(ボッシュ)の取締役を務めるDirk Hoheisel氏によれば、「Web技術の進化によって、2020年代には自動車もモノのインターネットに加わる」という。 - グローバル企業として生き残るには――ボッシュ栃木工場に見るニッポンクオリティ
自動車の品質とコストを支えているのは誰か。多くの部分を下支えしているのが部品メーカーだ。自動車部品メーカーの1つ、ボッシュ。その栃木工場の工夫を、小寺信良氏の目を通して語っていただいた。品質向上への努力とはどのようなものなのかが分かるだろう。 - ボッシュが48Vハイブリッドシステムを提案、CO2排出量を18%削減可能
ボッシュは、「人とくるまのテクノロジー展2014」において「48Vハイブリッドシステム」を提案。CO2排出量を従来比で5〜18%削減できるという。 - ホンダの「ヴェゼル」はアクセルペダルがエコ運転を誘導する、実燃費を9%向上
ホンダのコンパクトSUVの新型車「VEZEL(ヴェゼル)」は、1モーターのハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-DCD」を搭載するハイブリッドモデルがJC08モード燃費で27.0km/lを達成するなど高い燃費性能を実現している。さらに、エコ運転を誘導するアクセルペダル「リアクティブフォースペダル」により、実燃費を9%向上できるという。