日本の製造業が「IoTで遅れている」と指摘される理由:MONOist インダストリー4.0セミナー レポート(3/3 ページ)
MONOist主催のセミナー「インダストリー4.0の到来は日本をどう変革するか」の基調講演に、経済産業省 の正田聡氏が登壇。日本政府としてIoTによる製造業革新を支援する取り組みをどう進めているかということを紹介した。インダストリアルインターネットコンソーシアムの日本の窓口として活躍する吉野晃生氏の講演なども含め、同セミナーのレポートをお送りする。
製造業の未来を訴えたオートデスク
業界全体の大きな動きの一方で、企業の中でモノづくりの枠組みが大きく変化することを訴えたのがオートデスクの技術営業本部マネージャの加藤久喜氏である。加藤氏は「The Future of Making Things 〜ものづくりの未来〜」をテーマに「製造業サービスを売る時代に入りつつある」と述べる。
加藤氏は「従来の製造業のプロセスとは大きく違う流れになってきている。従来の製造業のプロセスは、企画から設計、生産、販売、提供という流れとなっており、企画時にほとんど製品の価値は決まってしまっていた。そこから工程が進むにつれて価値が下がることになる。しかし、IoTが普及することで製品が工程の後の方になっても変更できる。さらに顧客の手に渡った後でも機能を高めることができるようになる。企画時よりも価値が上がるという状況が生み出せるようになる」と変化を述べる。
製造のプロセスが大きく変わる中で、オートデスクではクラウドをベースとした柔軟で拡張性のある開発プラットフォームを提供し、これらの変化に追従する方針を示す。さらに、新素材や3Dプリンタを含む加工技術の変化により、従来の設計や製造の方法論に従わなくても最適な形状の製品が設計・製造できる世界が訪れつつある。
その象徴的な取り組みが「ジェネレーティブデザイン」である。ジェネレーティブデザインとは、クラウド上のコンピュータリソースを活用し、設計者が設定した仕様や条件をコンピュータで解析し、要求条件に適した形状を導き出して、設計者にフィードバックする新しい設計手法だ。設計者が数値を入力して、コンピュータから出されるデザインを選ぶだけで設計ができてしまうという仕組みである。
加藤氏は「設計者が過去の事例などを元に設計するのに対し、機能的に最適な強度などを自動で計算し、今までに見たことのないデザインなども実現できる」と述べる。既にフランスのエアバスと共同で、航空機のキャビン用パーティションの設計で採用した事例があるとしている。今後は「日本でもこうした先進的な取り組みを共同で進める企業を求めていきたい」と加藤氏は述べている。
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