3Dプリンタ製の樹脂金型が自動車製造を革新!? ハイテン材のプレス加工も:オートモーティブワールド2016(2/2 ページ)
豊通マシナリーは「オートモーティブワールド2016」において、3Dプリンタで製造した樹脂製金型による金属プレス加工技術「デジタルモールド・プレス」について展示デモを行った。
ハイテン材のプレス加工もお任せ
展示ブースでは、従来試験していたカーボディーをかたどった小さな樹脂型を6倍の大きさにスケールアップし、これまで検証実績のあるステンレス(SUS430)、アルミ(A5052)、軟鋼(SPC270)に加え、自動車業界で採用が進むハイテン材(SPC440およびSPC980)をプレス加工したサンプルを展示していた。
「同一の樹脂型を用い、単純成形加工(何もしないで押すだけ)一発で、それぞれどれくらいきっちり形状が出せるかを検証した。シワ押さえを施さず、単純成形加工でプレスしたのでシワが寄ってしまっている部分もあるが、一番硬いハイテン材(SPC980)以外は1回でおおむね形状を出すことができた。これらは通常、3工程くらい掛けてプレス加工していく必要があるが、1回で決められた。ハイテン材(SPC980)に関しても、この感じであれば2工程でプレスすればいけるのではないか」と説明員。
中辻金型工業ではこれまでの検証結果や、今回初めて試験したハイテン材の結果を踏まえ、金型構造のさらなる改善や金属製金型とのハイブリッド化(片面を金属の金型に、あるいは一部分を金属にする)なども視野に成形精度をさらに高め、デジタルモールドを次世代金型のスタンダードにしていきたい考えだ。
また、豊通マシナリーでは、デジタルモールド・プレスによる成形精度を、非接触式のハイエンド3Dスキャナーや解析ソフトウェアなどを活用して数値化、見える化し、検証・検討のサポートを含めたトータルサービスとして、自動車業界をはじめとする製造業に、デジタルモールドの技術を訴求していきたいという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 製造業に新たな可能性をもたらす3Dプリンタの「DDM」利用が急成長
ストラタシス・ジャパンは、「未来型デジタルファクトリー DDMフォーラム 2015」の開催に併せ、3DプリンティングおよびDDM(Direct Digital Manufacturing)事業に関する記者説明会を開催した。 - C・ロナウドが3Dプリンティング技術とハリウッドのSFX技術で等身大クローンに!?
ストラタシス・ジャパンは、美容機器メーカーのMTGが展開する「BODY REVOLUTION PROJECT」でイメージキャラクターを務めるクリスティアーノ・ロナウド選手の等身大サイバークローンを、米Legacy Effectsと共同製作したことを発表した。 - RP、AM、そしてDDMへ。モノからサービス関連へ。モノづくり技術の進化と深化
プロダクトデザイナーの林田浩一氏から見た「設計・製造ソリューション展(DMS)」とは? 3Dプリントや3Dスキャンエリアの展示エリアを中心に、今回の展示の傾向や業界の動向について紹介する。 - 「コペン」の3Dプリンタ着せ替えパーツ、アルゴリズミックデザインで自由自在に
ストラタシス・ジャパンは、「第26回 設計・製造ソリューション展(DMS2015)」において、ダイハツ工業の軽スポーツカー「コペン」向けに開発中の着せ替えパーツ「Effect Skin」に関する展示を行った。 - 3Dプリンティング技術の活用で、生産用治工具の製造時間を94%短縮
ストラタシス・ジャパンは、Volvo Trucksのエンジン生産工場がStratasysの3Dプリンティング技術を採用し、生産用治工具の製造時間を94%以上短縮させたと発表した。