既に100社が導入、ブラザー工業のウェアラブル端末が製造現場に支持される理由:ウェアラブルEXPO
ブラザー工業は「第2回 ウェアラブルEXPO」において、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)「エアスカウター」を出展。新たに建築現場など屋外環境を想定したタフコンセプトモデルを初めて出展した。
ブラザー工業は「第2回 ウェアラブルEXPO」(2016年1月13〜15日、東京ビッグサイト)において、製造業の組み立て支援などBtoBでの使用を想定したヘッドマウントディスプレイ「AirScouter(エアスカウター)」を出展。新たに建築現場など屋外環境での使用を想定したタフコンセプトモデルを披露した(関連記事)。
同社は2012年6月から業務用HMDとして単眼式のHMDエアスカウターシリーズを商品化。その後、試験導入などで使用実績を積み上げながら製品力を強化し2015年7月には「WD-200A」をリリースしている。同シリーズの導入状況について、ブラザー工業では「試験導入も含めての数字だが、導入企業は100社となった。その内の6割が製造業だ。パナソニックの群馬大泉工場など、大手企業の導入なども増えている」(同社広報)と手応えを語る。
スマートグラスやHMDなどのウェアラブル端末は、作業支援用途で大きな注目を集めているが実際には、システム導入や現場の作業プロセス変更など負担を強いる場合が多く、なかなか普及が進んでいないのが現状だ。その中で順調に導入を伸ばしている理由としてブラザー工業が挙げているのが、一種の“割り切り”だ。
「競合他社のHMDやスマートグラスは、スマートフォンと同様の機能を持つなどある意味ハイスペックなものが多い。しかし、これらの機器を現場に導入する場合、システム開発などが必要となる。エアスカウターは表示デバイスとしての役割に特化したことで、負担なく導入することができる。タブレットなどで製造現場の作業支援を行う仕組みがある場合はすぐに置き換えて使用することも可能だ」(同社広報)
屋外など新たな使用用途も開拓
今回のウェアラブルEXPOでは、新たに屋外使用を想定したタフコンセプトモデルを出展した。
建設業界など堅牢性が求められる場面や、水分やホコリが多い屋内外での活用を想定し、防塵・防水性能(防塵防水性能 IP65相当)や耐衝撃性能を強化したことが特徴だ。独自のアタッチメントにより、さまざまなヘルメットへの装着も可能とした他、無線通信機能を搭載したことが現行モデルとの違いとなる。
同社では「建築業界やフィールドサービスなどへの提案も進めてきたが、屋外での使用が中心となるため、防水機能や耐衝撃性などへの要望が高かった。今回のタフコンセプトモデルにより、これらのニーズに応えていく」(同社)と述べている。まずは同展示会で参考出品として意見を募り、製品化を検討していく。
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