産業用IoTの本命か、FPGAはエッジコンピューティングの勝利者となる?:エッジコンピューティング(3/3 ページ)
インダストリー4.0や産業用IoTなど製造現場のIoT活用が活発化している。その実現のカギを握る要素の1つがエッジコンピューティングである。FPGA大手のザイリンクスは「エッジコンピューティングにFPGAは最適だ」と主張し、産業用IoTへの提案を強化する。
画像認識や予防保全分野に期待
FPGAはもともと、多品種少量製品に強みを持ち、産業用機器などでは一定レベルでニーズがあったが、産業用IoTの普及により、どの領域で特に成長を見込んでいるのだろうか。
フリッチュ氏は主に「画像認識の活用の広がり、予防保全のニーズ、接続性の確保、の3つの領域で需要がある」と述べる。
「製造現場を見渡してみても、ロボットの自律化や人との協調などを進めていくには、画像や映像の助けが必須となる。当社ではもともとマシンビジョンで強みを持っていたが、さらに活用の幅が広がることにより、需要が増えると考えている。また、予防保全や接続性の問題も特定のハードウェアにこれらの機能を組み込んだり、ネットワークの柔軟性を実現したりするには、FPGAの特性が生きる」(フリッチュ氏)
人工知能との融合も
さらに、エッジコンピューティングでは末端の情報選別の精度向上を自律的に行うために人工知能(AI)や機械学習(マシンラーニング)などの活用なども視野に含まれているが「これらの技術を組み込むにも、ソフトウェアオリエンテッドなデバイスであるという点が生きる。これらの技術の進展はほとんどがソフトウェア領域で起こっていることだ。ソフトウェアとハードウェアをどう有効に結び付けるかということが重要になる。その点でソフトウェア開発環境なども整えている当社のFPGAが強みを発揮できると考えている」とフリッチュ氏は自信を見せている。
関連記事
- 第4次産業革命で必須となる“手足の頭脳”、ルネサスが人工知能付きデバイスを披露
ルネサス エレクトロニクスは、オートメーション技術の展示会「システムコントロールフェア(SCF)2015」(2015年12月2〜4日、東京ビッグサイト)において、製造現場におけるエッジコンピューティング実現に向け、人工知能(機械学習)を組み合わせた産業向けエッジデバイスソリューションを披露した。 - NECがIoT関連技術の開発体制を強化、エッジコンピューティングに注力
NECは、IoTプラットフォーム製品事業の強化を進めるため、現在グループで約300人の開発要員を2016年度中に1000人に増強する方針を示した。エッジコンピューティング関連の技術開発を強化していく。 - インダストリアルインターネットコンソーシアムが目指すもの
米国のIoT推進団体として注目を集めるインダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)だが、実際にどういう方針で取り組みを進めているのだろうか。日本ナショナルインスツルメンツが開催したユーザーイベント「NIDays 2015」では、クロージングキーノートとして、IoTの産業実装を推進するインダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)の日本代表を務める吉野晃生氏が登壇。IICの取り組みと日本の動きについて紹介した。本稿では、この講演の内容と吉野氏へのインタビューをお送りする。 - ドイツが描く第4次産業革命「インダストリー4.0」とは?【前編】
「インダストリー4.0(Industrie 4.0)」という言葉をご存じだろうか? 「インダストリー4.0」は、ドイツ政府が産官学の総力を結集しモノづくりの高度化を目指す戦略的プロジェクトだ。インダストリー4.0とは何なのか。同プロジェクトに参画するドイツBeckhoff Automationグループに所属する筆者が解説する。 - テーマサイト「IoT/ビッグデータ活用がもたらす製造業の未来とは」
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.