NECがIoT関連技術の開発体制を強化、エッジコンピューティングに注力:製造ITニュース
NECは、IoTプラットフォーム製品事業の強化を進めるため、現在グループで約300人の開発要員を2016年度中に1000人に増強する方針を示した。エッジコンピューティング関連の技術開発を強化していく。
NECは2015年11月9日、IoTプラットフォーム製品事業の強化を進めるため、現在グループで約300人の開発要員を2016年度中に1000人に増強する方針を示した。同社では2020年にIoT関連事業の売上高3000億円を目指しているが、これに向けた体制の強化を進めていく。
NECでは、IoTプラットフォームとして、デバイスコンピューティング、近距離ネットワーク、エッジコンピューティング、広域ネットワーク、クラウドコンピューティングの5層モデルを提示。それに必要な技術として、高速・高精度な分析処理、分散型協調型処理、デバイス仮想化、セキュリティ、統合運用管理などの技術を中心に開発を進めていく。
NEC執行役員常務の庄司信一氏は「IoTプラットフォームとしてこれらの必要な技術を提供するために、開発体制を強化する。現状の300人の体制を2016年度に1000人規模に拡大し、製品開発を加速させる」と述べる。
IoT時代のエッジコンピューティングの実現
具体的な開発のポイントとしては、「エッジコンピューティング」「分散協調型処理」「デバイスネットワーク層でのセキュリティ強化」の3つを挙げる。
「例えば、IoTにより多くの部品や製品から大量のデータが発生するようになれば、全てをデータとして保存すると、ITシステムへの負担が非常に大きくなる。そのため、何が必要なデータで何が不必要なデータかを現場で分別できるようにしなければならない」とNEC執行役員の福田公彦氏は述べる。
このエッジコンピューティングの実現に向け、時間の制約を打破するリアルタイム制御の実現と、現場に近い環境での情報のフィードバックが必要になる。
分散協調処理についても、同様だ。エッジコンピューティングのように現場での情報処理を実現するためには、データ特性やネットワーク状態に応じソフトウェアが最適動作する分散協調処理が必要になる。さらにIoTには、物理的な危険が発生するため、セキュリティへの取り組みも必須となる。これらの3つの方向性をふまえて、5層構造に合わせた開発強化を進めていく。
福田氏は「エッジコンピューティングを中心に分析・統合運用管理などIoT関連技術の開発にシフトする。NECは長らくIoTに関わってきておりIoTの全体像が見えている数少ない企業だ。具体的にどうすれば価値を生み出せるのか、機器やシステムを動かせるのかというのを理解しているというのが大きな強みだ」と強調する。
これらに向けて新製品の準備を進めていく方針だ。現在でも、高速・高精度な分析処理基盤としてサーバ製品の新製品として「DX2000」などを発売。また、2017年度にベクトル型スーパーコンピュータを発売する。その他、デバイス仮想化やセキュリティ強化の点から現場作業強化を実現する「Collaboration Assisant」についても2016年度に製品化するとしている。
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