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米独の製造業革新に対抗する“日本版”構築へ、NECがIoTモノづくり基盤を発表スマートファクトリー(1/3 ページ)

NECは、IoTを活用した製造業支援ソリューションとして「NEC Industrial IoT」を発表。NECでは2012年から、自社の製造業としてのノウハウと最先端のICTを組み合わせた「ものづくり共創プログラム」に取り組んできたが、今回はIoTに関連するソリューションとして体系化し、ドイツのインダストリー4.0などの動きと対抗できるようにする。

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 NECは2015年6月16日、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)を活用したモノづくり支援事業の強化方針を発表。ドイツのインダストリー4.0プロジェクトや米国のインダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)などが掲げる、IoTを活用した次世代モノづくりの実現に向け、同社のソリューションを体系化し、一貫提供できるようにする。当面は国内企業を対象とするが「海外を狙いたいという気持ちはある」(NEC 執行役員 松下裕氏)としており、“日本版”の製造業革新基盤構築を目指していくという。

日本の製造業への“脅威”が生まれつつある

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NEC 執行役員 松下裕氏

 ドイツの「インダストリー4.0」や米国の「インダストリアルインターネット」など世界各国でIoTを活用したモノづくり革新の動きが広がりを見せている。これらの動きは、国際標準化などの動きと関連し日本の製造業の強みを脅かす“脅威”として受け取られている(テーマサイト:インダストリー4.0が指し示す次世代工場の姿)。

 実際に「インダストリー4.0に直結するわけではないが、あるドイツの製造業に部材を収める日本のメーカーに、そのドイツ企業が工場視察に来た際、その報告書で『IoTやトレーサビリティへの対応が遅い』ということを指摘してきたそうだ。そして『これらへの対応がない場合は今後の発注に影響がある』という話があったという」と松下氏が直接顧客企業から聞いたエピソードを紹介した。そして「このように、日本の製造業に対する脅威は、目に見える形で起こりつつある」と松下氏は指摘する。

“つながる工場”と“つながる製品”

 NECの新たな取り組みを紹介する前に、まず「次世代モノづくり」として注目を集める製造革新活動について整理する。

 IoTを活用した製造革新活動は具体的に見ていくと大きく分けて2つの取り組みがある。1つは工場においてIoTによるバリューチェーンイノベーションを実現する「Process Innovation(つながる工場)」の動きだ。これを象徴するのが、自律的な生産ライン実現を目指す、ドイツの「インダストリー4.0」である(関連記事:ドイツが描く第4次産業革命「インダストリー4.0」とは?【前編】)。

 もう1つが、製品においてIoTによるバリューチェーンイノベーションを実現する「Product Innovation(つながる製品)」である。これだけを指すわけではないが、“つながる製品”の動きで象徴的なのがGEを中心としたインダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)の取り組みだといえる(関連記事:産業機器向けIoT団体「IIC」、その狙い)(図1)。

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図1:IoTを活用した2つのイノベーション(クリックで拡大)※出典:NEC

 次世代モノづくり基盤としての理想の姿は、これらの両面を組み合わせ、「徹底したローコストオペレーション」(つながる工場)と、「ライフサイクル全体で新たな価値を強化し続ける製品とサービスの創造」(つながる製品)を実現することだ。この理想像に向け、NECが持つIoT技術や、製造業としての実証を行い、最適化したモノづくりIoTソリューションとして提供するのが新たに発表した「NEC Industrial IoT」となる(図2)。

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図2:「次世代モノづくり」の理想像(クリックで拡大)※出典:NEC

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