米独の製造業革新に対抗する“日本版”構築へ、NECがIoTモノづくり基盤を発表:スマートファクトリー(2/3 ページ)
NECは、IoTを活用した製造業支援ソリューションとして「NEC Industrial IoT」を発表。NECでは2012年から、自社の製造業としてのノウハウと最先端のICTを組み合わせた「ものづくり共創プログラム」に取り組んできたが、今回はIoTに関連するソリューションとして体系化し、ドイツのインダストリー4.0などの動きと対抗できるようにする。
「ものづくり共創プログラム」が土台
実はNECには、今回の「NEC Industrial IoT」を実施するにおいて、土台となった取り組みがある。それが、2012年10月に開始した「ものづくり共創プログラム」だ。ものづくり共創プログラムは、NECが行ってきた生産革新やサプライチェーン改革のノウハウを、「モノづくり・業務プロセス」とそれを支える「ITシステムおよびアセット」という2つの視点から提供するもの。モノづくりのプロセス改革やITシステムの導入、コンサルテーション、モノづくりのノウハウ提供まで、一貫して支援できる点が特徴となる(関連記事:モノづくりを丸ごとサポート!――NEC、「ものづくり共創プログラム」を出展)。
同プログラムは、顧客となる製造業同士のコミュニティー活動もポイントとなっており、参加企業同士の工場見学や問題解決案の話し合いなどの活動を進めている。既に2015年5月末時点で562社、1471人が参加し「2015年度(2016年3月期)末には1000社、3000人まで増やすことを目指す」(松下氏)としている。
新たに「NEC Industrial IoT」を開始
ものづくり共創プログラムはもともと、NECの製造業としてのノウハウと、同社が提供するICTを組み合わせて提供するという点がポイントだが、新たに取り組むNEC Industrial IoTも大きな枠組みとしては同様となる。ものづくり共創プログラムの会員などから得た生きた情報やニーズを基に、NECが持つ「IoTの技術力」および、数多くの生産革新活動に取り組んできた「製造業としてのノウハウ」を組み合わせることで、新たに「IoTを活用した次世代モノづくりソリューション」を体系化し、一貫提供できるようにするのが「NEC Indurtrial IoT」となる(図3)。
個々に提供するものは、NECが今までも個別のソリューションとして提供してきたものだが「IoTを切り口に、コンサルテーションから最終導入まで一貫して提供できるようにするということころがこれまでとの違いとなる」と松下氏は述べる。
では、具体的にはどのような取り組みになるのだろうか。
「NEC Industrial IoT」で目指すものは先述した「理想の次世代モノづくりの姿」を体現するもので、「グローバルの生産プロセス改革」と「グローバルでのトレーサビリティ実現・品質向上」「新製品/サービスの創出力強化」の3つを目指すという。さらにこれらの3つのポイントを具体的に掘り下げると以下のポイントになる(図4)。
グローバルでの生産プロセス改革(プロセスをつなぐサイバーフィジカルSI)
- ERP(Enterprise Resource Planning、統合基幹業務システム)とシームレスに連携し、IoTに適合したMES(Manufacturing Execution System、製造実行システム)の提供
- 動的な工程変更に対応可能かつセキュアなIoTネットワークの提供
- 設備のIoT化を実現するさまざまな技術とSIの提供(軽量暗号化、M2M基盤、各種センサー機器)
グローバルでのトレーサビリティ実現・品質向上(モノづくりデータの価値転換)
- コスト、手間をかけない部品レベルの個体管理システムを提供
- 世界中の工場から4M情報を自動的に把握するIoTに適合したMESの提供
- 膨大な収集データに基づく品質分析システムの提供
- 4M(人、機械、材料、方法)情報を収集、蓄積、活用するためのセキュアな環境の提供
- ライフサイクル全体のデータを一元管理する基盤の提供
新製品/サービスの創出力強化(進化し続ける製品のセキュアなプラットフォーム)
- 製品の稼働状況をリモートで把握するスケーラブルなIoT基盤の提供
- さまざまな通信機能やセンサーを製品に実装する組み込みソフトとSIの提供
- スマートな保守・保全を実現するための故障予兆監視システムの提供
- ユーザーデータを収集、蓄積、活用するためのセキュアな環境の提供
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