トヨタの生活支援ロボット「HSR」、完成度高まる:2015国際ロボット展
トヨタの開発する、家庭内での自立生活をアシストする生活支援ロボット「HSR」が間もなく大学などでの研究用に用いられる。ベースを提供することで、生活支援ロボットの開発を加速させる狙いだ。
トヨタは「2015 国際ロボット展」(2015年12月2〜5日、東京ビッグサイト)にて、生活支援ロボット「HSR(Human Support Robot)」のデモを披露した。HSRは2012年9月に発表、展示会への出品などを通じて改良を進めてきたロボットで、今回デモにて利用されているHSRは同社が2015年9月から募集している「HSR開発コミュニティ」への貸与を前提として、研究開発用に各所をブラッシュアップしたバージョンだ。
HSRは足の不自由な人や高齢者のために、離れた場所に移動して様子を確認したり、物を運んだりすることで、家庭内における自立生活の支援や見守り、介護支援などを実現するロボット。
ステレオカメラやマイク、ディスプレイなどを備えた頭部、円筒型のボディー、折り畳み式のアーム(1本)で構成されており、ロボットハンドは保持と吸着の機能を併せ持つことで、家庭内に存在するざまざまなものを拾い上げ、利用者へ渡すことができる。
オープンソースのROS(Robot Operating System)を採用しており、開発に際してはシミュレーター「Gazebo」や「rviz」といった、ROSに対応するさまざまなツールが利用できる。会場に用意されている機体は研究開発向けとなっており、各種ポート位置などがメンテナンス性に考慮した構造となっている他、肩関節には自重補償機構を搭載。駆動系電源をワンボタンで遮断できるリモコンも用意されており、安全性にも考慮されている。
同社が2015年9月に参加募集を行った「HSR開発コミュニティ」は、トヨタより貸与される生活支援ロボットを用いて、障害者や高齢者の生活支援について研究開発を行い、研究成果はコミュニティー内で共有する。トヨタはロボットの貸与のみならず、実証実験の実施場所紹介なども行うことで、早期の実用化を支援する。HSR開発コミュニティの参加機関については、年内に第一弾となる参加機関が決定する予定だ。
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