ヒトとロボットの共生のカタチ――トヨタが目指した自立生活支援ロボ「HSR」:2013国際ロボット展
トヨタ自動車は「2013国際ロボット展」において、生活支援ロボット「HSR(Human Support Robot)」の実演デモを披露。手足の不自由な人や高齢者のために開発されたロボットで、家庭内における自立生活の支援や見守り、介護支援などを実現する。
トヨタ自動車は、国内外の民生用/産業用ロボットが一堂に集まる「2013国際ロボット展」(会期:2013年11月6〜9日/東京ビッグサイト)において、昨年(2012年)技術発表を行った生活支援ロボット「HSR(Human Support Robot)」の実演デモを披露した。
HSRは、手足の不自由な人や高齢者のために開発されたロボット。離れた場所に移動して様子を確認したり、物を運んだりすることで、家庭内における自立生活の支援や見守り、介護支援などを実現する。
同社は、「トヨタ・パートナーロボット」開発ビジョンを2007年に掲げて以来、“全ての人が明るく楽しく生活できる社会”の実現を目指し、「生活支援」「介護・医療支援」「パーソナル移動支援」「製造・ものづくり支援」の4つの領域で、パートナーロボットの開発を推進。HSRは、生活支援を行うパートナーロボットとして開発された(関連記事:自立生活をアシストする、トヨタが開発した折り畳み式アーム搭載ロボット「HSR」)。
2013国際ロボット展ニュース記事: | |
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「何を」「どこから」「どうする」――タブレット端末や音声で簡単操作
HSRは、移動用カメラや距離センサー、タブレット端末などを備えた頭部、円筒型のボディ、折り畳み式のアーム(1本)で構成される。頭部のタブレット端末のディスプレイには操作者の顔が表示されTV電話のように会話することも可能だ。本体の直径は370mm、高さは830〜1330mm(昇降域500mm)で、重量は約32kg。また、アームの長さは775mmで、1.2kg以下の物をつかむことができる。障害物を検知し、停止したり、回避したりすることが可能で、最大移動速度は時速3kmである。
「移動・物を運ぶ」「落ちた物を拾う」「机や棚から物を取る」「人に物を渡す」などの基本動作は、音声や操作用タブレット端末から指示する(展示会場ではタブレット端末による操作デモを披露していた)。「操作用タブレット端末で『何を』『どこから』『どうする』という指示をタッチ選択するだけで、HSRに指示を与えることができる」(説明員)。例えば、“化粧品が入っているトレイ”を“棚”から取り出し、“ベッドテーブルまで持ってくる”といった指示が簡単に行える。指示を受けたHSRは、命令を音声で復唱した後、自動で任務を遂行する。
棚や棚に収納されているトレイ(さまざまな生活用品が入っている)、ベッドなどには、あらかじめ2次元コードが張り付けられており、操作用タブレット端末からの命令を受けたHSRは、そのコードをカメラで認識しながら正確な位置などを把握する。「物をつかむ際はどの角度でつかんだらよいかを判断したり、人に物を渡す際はゆっくりと物を離したりできる。また、写真や薄い紙のようにつかみづらい物でも、ロボットアームの先端(ハンド)部分に吸引できる機構を備えており、吸い上げる力を利用して拾うこともできる」(説明員)という。
操作者の支援として、HSRの姿勢や向いている方向、部屋のどこにいるかなどの位置情報を操作用タブレット端末上の画面に表示する機能を備える。また、移動用カメラ映像を見ながら、ソフトウェアコントローラでHSRを任意の位置に移動させることも可能で、例えば、床に落ちている物を拾い、ゴミ箱に捨てることもできる。「HSRの移動用カメラに落ちている物が映ったら、操作用タブレット端末の画面でそれをタップすることで『取る』『吸引』を選択して、拾うことができる。『取る』を選択した際、HSRは自動で物の形状・向きを認識し、最適な持ち方で拾い上げてくれる」(説明員)。
ロボット開発の最前線
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