“幻滅期”に入った民生3Dプリンタ、IoTや自動運転は“過度の期待”がピークへ:製造マネジメントニュース
米国の調査会社Gartnerは、「新興技術におけるハイプサイクル2015年版」を発表した。調査結果によると民生用3Dプリンタは「幻滅期」となっている他、IoTや自動運転、音声翻訳技術などが「過度の期待のピーク期」となっていることを明らかにした。
米国の調査会社Gartner(以下、ガートナー)は2015年8月18日(現地時間)、「新興技術におけるハイプサイクル2015年版」を発表した。
ガートナーのハイプサイクルは2000を超えるテクノロジーを119の分野にグループ化し、その成熟度、企業にもたらすメリット、今後の方向性に関する分析情報を図で表したもの。先進的な技術が「大きな期待」「幻滅」「最終的な安定普及」といった共通のパターンで定着することから、それぞれの技術がこのハイプサイクルのどこに位置するのかを示した調査資料だ。1995年からグローバル版を展開している。
今回の「新興技術におけるハイプサイクル2015年版」で、動きのあった技術の1つとして「自動運転技術(Autonomous Vehicles)」がある。前回の調査では、期待値が高まっている状態だったが、今回は「過度の期待のピーク」に達した。大きな注目を浴びている状況だが、今後「幻滅期」に入り、多くの問題点を指摘されることが予想されている。
同様にIoT(Internet of Things、モノのインターネット)についても「過度の期待のピーク期」となっている。今後、幻滅状態を抜け5〜10年で「生産性の安定期」へと向かうと予測されている。
また、「民生用3Dプリント技術(Consumer 3D Printing)」については「過度の期待のピーク期」から「幻滅期」に移ろうとしているところだとされている。既に3Dプリンタで一般利用者が使う際の問題点などが指摘され始めており、これらをクリアできるかどうかが今後の定着につながると見込まれる。一方で「企業向け3Dプリント技術(Enterprise 3D Printing)」については、「幻滅期」を抜け、「啓蒙期」に入っている。既に従来の試作用途から直接生産など、さまざまな利用方法が定着しつつあり、2〜5年後には「生産性の安定期」に入るものとみられている。
関連記事
- 3Dプリンタは、企業向けが「幻滅期」、一般向けが「“過度の期待”のピーク期」
調査会社のガートナージャパンは、先進技術が普及段階のどこにあるかを示す「ハイプサイクル」の2014年日本版を発表した。その中で、エンタープライズ向け3Dプリンティングは「幻滅期」に、コンシューマ向け3Dプリンティングは「過度な期待のピーク期」にあると指摘した。 - 最も必要なのは“失敗の覚悟”、ガートナーが語る“イノベーションを生み出す技術”とは?
苦境からの反転を目指す国内製造業。その復活に必要なものは何か――。ビッグデータ、3次元(3D)プリンタなど新たな技術活用が広がりを見せる中、最も大切なのは“失敗の覚悟”だった? グローバルで多くの企業を分析する調査会社ガートナーのコンサルタントに製造業が取り組むべき方向性について話を聞いた。 - ビッグデータを活用する日本企業はわずか6%、約半分が「やり方分からない」
ガートナー ジャパンは、日本企業のビッグデータへの取り組みに関する調査結果を発表。ビッグデータに対する認知度は約9割で、約3割の企業が関心を示しているものの、実際にビッグデータを活用する日本企業はわずか6%だという結果となった。 - 「モノのインターネット」製造業への経済効果は2850億ドル――ガートナー
米国調査会社のガートナーは、2020年のデジタル技術の展望について示した。2020年にはパーソナルデバイスが73億個の普及となる他、「モノのインターネット」による300億個の端末となり、それに関連する経済効果は1兆9000億ドルに及ぶと予測している。 - コンシューマ向け3Dプリンタは「過度な期待のピーク期」――ガートナー調査
調査会社のガートナーは、先進技術が普及段階のどこにあるかを示す「ハイプサイクル」の2013年版を発表した。その中で、コンシューマ向け3Dプリンティングは「過度な期待のピーク期」にあると指摘した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.