コンシューマ向け3Dプリンタは「過度な期待のピーク期」――ガートナー調査:製造ITニュース
調査会社のガートナーは、先進技術が普及段階のどこにあるかを示す「ハイプサイクル」の2013年版を発表した。その中で、コンシューマ向け3Dプリンティングは「過度な期待のピーク期」にあると指摘した。
調査会社の米ガートナーは2013年9月3日、「先進テクノロジのハイプサイクル:2013年」を発表した。その中で企業向け3Dプリンティングは2〜5年の間に「生産性の安定期」に達するとした一方、コンシューマ向け3Dプリンティングは「過度な期待のピーク期」にあると指摘している。
ガートナーのハイプサイクルは2000を超えるテクノロジを98の分野にグループ化し、その成熟度、企業にもたらすメリット、今後の方向性に関する分析情報を図で表したもの。先進的な技術が「大きな期待」「幻滅」「最終的な安定普及」といった共通のパターンで定着することから、それぞれの技術がこのハイプサイクルのどこに位置するのかを示した調査資料だ。
ガートナーのバイスプレジデント兼ガートナー・フェローであるジャッキー・フェン(Jackie Fenn)氏は「2013年のハイプサイクルでは人とマシンの進化する関係に焦点を当てた。その中で『テクノロジによる人間の能力の増大』『人が行っていた仕事のマシンによる代行』『人とマシンのコラボレーション』3つのトレンドがあることが分かった。」と話している。
ウェアラブル技術の発展
具体的には「テクノロジによる人間の能力の増大」としてはウェアラブル技術の工場などがある。ガートナーでは「ウェアラブル技術を全ての従業員が利用できれば、生産性、営業能力、顧客へのサービス提供能力は飛躍的に向上する。生体音センサー、3Dバイオプリンティング、ブレーンコンピュータインタフェース、音声翻訳などの技術に注視する必要がある」と指摘している。
「マシンによる人間の作業の代行」や「人とマシンのコラボレーション」としては、立体ホログラフィックディスプレイ、自律走行車、モバイルロボット、仮想アシスタントなどの技術を紹介している。
また、現在関心が高まっているコンシューマ向けの3Dプリンティングに関しては「過度の期待のピーク期」にあるとし、今後「幻滅期」を通過した上で5〜10年後に普及に向かうとしている。一方で試作負担の軽減などに効果を発揮する企業向け3Dプリンティングについては「啓蒙活動期」にあるとし、2〜5年程度で安定普及段階に入ると予測している(関連記事:3Dプリンタと3つの誤解)。
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