「モノのインターネット」製造業への経済効果は2850億ドル――ガートナー:製造ITニュース
米国調査会社のガートナーは、2020年のデジタル技術の展望について示した。2020年にはパーソナルデバイスが73億個の普及となる他、「モノのインターネット」による300億個の端末となり、それに関連する経済効果は1兆9000億ドルに及ぶと予測している。
米国調査会社のガートナーは、東京都内で開催中のイベント「Gartner SYMPOSIUM ITxpo」(2013年10月15〜17日)に合わせて記者会見を開き、2020年までのデジタル技術の展望を紹介。「モノのインターネット(Internet of Things)」に関連する経済効果は2020年には1兆9000億ドルに達し、その中で15%を製造業が占めるという予測を示した(関連記事:コンシューマ向け3Dプリンタは「過度な期待のピーク期」――ガートナー調査)。
ガートナーは今回のイベントのテーマとして「Leading in a Digital World(新しいデジタル・ワールドをリードせよ)」を掲げており「デジタルワールド」への取り組みの価値を強調。「デジタル化」を「さまざまな先進技術による過去にない組み合わせが企業に成長と価値をもたらす状態」と再定義し「デジタル化に先進的に取り組んでいくことが企業の成長力の違いを生み出す」とガートナーのシニアバイスプレジデント(リサーチ部門最高責任者)のピーター・ソンダーガード(Peter Sondergaard)氏は語る。
これらの象徴の1つとしてモノのインターネットによる影響を紹介。2009年にはグローバルで、パーソナルデバイスの普及は16億個、モノのインターネットは9億個だったが、2020年にはパーソナルデバイス73億個、モノのインターネットは300億個と爆発的に普及が進む。それにより、モノのインターネットによって得られる経済価値は1兆9000億ドルに及ぶと同社は予測する。
その経済価値の中で最も多くの価値を享受すると見られるのが製造業で全体の15%に当たる2850億ドルの経済効果が得られる見込みだという。ソンダーガード氏は「モノのインターネット化によりあらゆる企業がテクノロジ企業となる可能性を持つ。製品の中にどんな技術を搭載させるのか、ということよりもクラウドの中で周辺にどういう技術を配置するのかが重要になる。今の業界の枠組みや競合関係を超えた新たなビジネスが生まれる」と話している。
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