ニュース
ソーラーカーの車体重量は成人男性1人分、成形厚0.06mmの炭素繊維織物で実現:材料技術(2/2 ページ)
工学院大学がソーラーカーレース「WSC 2015」に参戦するため開発した車両「OWL」は、車体重量が55kgと成人男性1人分よりも軽い。これは、成形厚0.06mmという新開発の炭素繊維織物を用いた炭素繊維強化樹脂で製造しているからだ。
炭素繊維強化樹脂の利点「一体成形」にも挑戦
OWLの車体製造では、この極薄の炭素繊維織物を使う以外に、車体の一体成形にも取り組んだ。通常の車体の製造工程であれば、複数の構成部品を別々に製造してから組み上げるのが一般的だ。しかしOWLが挑戦した一体成形は、炭素繊維強化樹脂の利点とされてはいるものの、成形のために巨大なオートクレーブが必要になるなど、複数の構成部品を別々に製造するよりも難易度が高い。この一体成形については、帝人の子会社であるジーエイチクラフトが担当した。
帝人広報部から、ジーエイチクラフトで行われた車体の一体成形の様子を撮影した写真を提供してもらったので、ここに紹介しよう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「惨敗から学び栄光つかむ」、工学院大が世界最大のソーラーカーレースに再挑戦
工学院大学は、新たに開発したソーラーカー「OWL(あうる)」を初披露した。2015年10月に開催される世界最大規模のソーラーカーレース「World Solar Challenge 2015」で悲願の優勝を狙う。 - CFRP製自動車部品の採用拡大に必要なことは「工場の自動化」
「第27回日本国際工作機械見本市」の特別講演に三菱レイヨン 炭素繊維・複合材料技術統括室 担当部長の小川繁樹氏が登壇。同社独自の炭素繊維強化樹脂(CFRP)の生産技術や今後の展開について語った。 - 炭素繊維強化樹脂はなぜ高価なのか、熱可塑性樹脂の適用が限界を打ち破る
自動車の軽量化に大きく貢献するとされている炭素繊維強化樹脂は、高価なこともあって量産車の構造部材に採用されている例はまれだ。しかし、NEDOのプロジェクトが開発した熱可塑性樹脂を用いる炭素繊維強化樹脂であれば、その限界を打ち破れるかもしれない。 - 医療分野にも広がる炭素繊維強化樹脂、脳外科手術で頭を支えるフレームに最適
帝人は、「MEDTEC Japan 2015」において、同社が注力している炭素繊維強化樹脂について、医療分野の採用事例を披露した。 - 23万円は本当に高いのか? “いつか使いたい”松葉づえの開発ストーリー
自分に合う松葉づえに出会えません――。1通のメールから始まったプロダクト開発。メディカルチャープラスが手掛けた「ドライカーボン松葉杖」に込められた思いとは? 開発ストーリーからこれからのモノづくりのヒントを学ぶ。