IoT時代のローラーコンベア実現へ、動きを制御し、省人・省エネ・省スペース化:生産と設備TOKYO(2/2 ページ)
伊東電機は、生産効率化や設備保全などの展示会「生産と設備TOKYO」に初出展し、同社の主力製品である制御可能なモーターローラー「パワーモーラ24」シリーズを紹介した。
省人化、省力化、省エネ化を実現
製造現場において、パワーモーラを採用する利点は主に3つある。1つ目は搬送ラインにおいて省人化が可能である点だ。搬送ラインでは、搬送物が引っ掛かることがあったり、それに対応するための監視が必要だったりする。その原因の一部が一定スピードで流れ続けるローラーコンベアにあるが、コンベアの制御により、荷物を一定間隔になるように調整したり、自動制御で一部を止めたりすることができれば、これらの人員を置かなくてもすむようになる。それにより省人化を進めることが可能だ。
さらに、従来は最適にモノを流すために、独自の治具や搬送用部材を作り、搬送ラインに取り付けるケースなども多かったが、これらの作業を軽減することも可能だ。
さらに常にフル稼働していた従来型のローラーコンベアに対し、パワーモーラ採用のものは、搬送物が来た時だけ駆動させ、残りの時間はとめておくことができるので、省エネ化が行えるという。これにより消費電力を60%カットできる場合もあるとしている。
世界最大級のショッピングサイトの倉庫で採用
通常のローラーコンベアは大型のモーターが本体下部に付き、シャフトを利用してローラーを稼働させているが、パワーモーラを採用した場合、本体下部のモーターとシャフトは不要になるため、省スペース化も行える。
これらの利点が評価を受け、同社のパワーモーラシリーズは海外などで高い評価を受け、米国の郵便関連などで導入が進んでいるという。また、“世界最大級のショッピングサイトの倉庫“などにも採用され、物流業界では豊富な実績を持つとしている。ただ、国内ではまだまだ導入の余地があるとし「製造業の工場などを含め、導入提案を広げていきたい」(ブース説明員)としている。
また、今後は「IoT(Internet of Things)やインダストリー4.0などの流れを見据え、ローラーの動作などで得たデータを集めて、保全や最適運用などに役立てることなども検討している」(同)という。
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