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フリースケールが車載マイコンをARM化、ソフト開発重視のトレンドに対応車載半導体(2/2 ページ)

Freescale Semiconductor(フリースケール)は、ARMのマイコン向けプロセッサコア「Cortex-M4」を採用した車載マイコン「S32K」を発表。同社の車載マイコンにARMコアを本格採用していく方針を明らかにした。

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新型車の車載ソフトウェア規模は1億行以上に

 フリースケールの車載マイコンと言えば、Power Architectureベースの32ビットマイコン「Qorivvaファミリ」や、アナログ機能を集積した16ビットマイコンの「S12 MagniV」などが中心だった。一方、汎用マイコンについては、ARMのプロセッサコアを採用した「Kinetisファミリ」を展開している。

 しかし2014年4月、中国地場の自動車メーカーやティア1サプライヤを意識した、ボディシステム向けの車載マイコン「Kinetis EAシリーズ」を発表。Kinetis EAシリーズは車載マイコンでありながら、その名の通りKinetisファミリの一員でもあり、ARMのプロセッサコア「Cortex-M0+」を採用している。フリースケールの車載マイコンがARMのプロセッサコアを採用したのはこれが初の事例だった(関連記事:車載マイコンにARMを採用したフリースケール、中国市場を攻略へ)。

 ただしこの時点ではKinetis EAシリーズは、汎用マイコンであるKinetisファミリの名を冠しており、あくまで中国市場攻略に向けた“飛び道具”に近い位置付けの製品でしかなかった。

 しかし今回のS32Kは、世界全域で展開する製品であるとともに、性能がKinetis EAシリーズよりはるかに高いことからボディシステムだけでなくシャシーシステムなどの幅広い用途もカバーしている。これらのことから、フリースケールが車載マイコンにARMコアを本格採用していく方針に舵を切ったことが明確に伝わってくる。

 同社はその理由として、「カーエレクトロニクスサプライヤが、ハードウェアよりもソフトウェア開発を重視するようになっている傾向」を第一に挙げている。現在の新型車に用いられるソフトウェア規模はコード行数で1億行以上に達し、これはほとんどの旅客機を上回っている。つまり、自動車の新たな価値を生み出していくには、複雑化し、大規模化する車載ソフトウェアをいかに効率よく開発できるかによってくるというわけだ。

 フリースケールは、ソフトウェアの開発が容易になるように、車載ソフトウェア標準のAUTOSARで規定されている物理層に直結するソフトウェアモジュールのMCALや、ミドルウェアなどを同梱したソフトウェア開発キット(SKD)を用意。新たな統合開発環境として「S32 DS」もそろえた。さらに、IAR Systemsのサポートを受け、同社のコンパイラやデバッグツールとの連携も容易になっているという。

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