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“日本製”で存在感を示した太陽誘電、記録メディア事業から撤退:製造マネジメントニュース
太陽誘電は1988年のCD-R開発以来続けてきた光記録メディア事業を2015年12月で終了すると発表した。市場縮小と原材料価格高騰の影響による。
太陽誘電は2015年6月11日、記録製品事業から撤退することを発表した。
同社は1988年のCD-R開発以来、DVD-R、BD-Rなどの光記録メディア事業を展開。製造関連会社であるザッツ福島で一貫して製造を行い、「日本製」を特徴とした高信頼性を強みとしていた。また、多くの記録メディア企業からOEMでの製造受注なども請け負っており、光ディスクの利用と普及に大きな貢献を示してきた。
光ディスクは、海外メーカーの台頭による低価格化競争など、市場的に厳しい状況に陥った時期も何度かあったが、それらの状況に対しては「さまざまな原価低減や構造改革で乗り切ってきた」(太陽誘電 広報部)。ただ、HDD(ハードディスクドライブ)やUSBメモリの大容量化やクラウドコンピューティングの普及により、光記録メディア製品の市場は縮小を続けており、市場構造的に今後の成長が見込めないため「一時的な環境だけで判断したわけでなく将来性を考慮して、撤退を決めた」(同)という。
今後は2015年12月末で記録メディア製品の販売を終了する予定。なお、光ディスク生産を請け負っていたザッツ福島については電子部品生産に切り替える。既に主力となる電子部品との並行生産という形になっており、生産終了に向けて徐々に電子部品生産の比率を高めていくとしている。
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