“血まみれ”で夢を描くシャープ、止血策は十分か?:製造マネジメントニュース(1/2 ページ)
シャープは2015年3月期(2014年度)の決算で2230億円という巨額の最終赤字に転落。2017年度(2018年3月期)までの経営再建策を発表した。本社の売却や3500人の人員削減により固定費削減を推進するが、具体的な事業再建策は不明確なものとなった。
シャープは2015年5月14日、2015年3月期(2014年度)の決算を発表した。売上高は前年度比4.8%減の2兆7862億円、営業損益は同1565億円悪化し480億円の赤字、当期純損益は同2338億円悪化し2223億円という巨額の赤字となった。同社は2011年度(2012年3月期)に過去最悪となる2900億円の最終赤字を計上し、新たに代表取締役社長に就任した高橋興三氏の下、経営再建策に取り組んできたはずだったが、新たな再建策が必要な状況に陥った。
変化に弱い経営体制で2000億円以上の赤字へ
2012年度(2013年3月期)、2013年度(2014年3月期)に黒字化したものの、経営状況が急速に悪化した直接的な要因は、太陽光発電事業における材料であるポリシリコン長期契約の単価差引き当て金と液晶関連の在庫の評価減による特別損失が発生したことによるもの。しかし、高橋氏は「2012年度、2013年度と再建計画通り順調に回復してきたが、2014年度下期の市場環境の変化に対して、柔軟に全社を挙げて対応できるような経営体制がなかった。変化に弱い体制となっていたことが反省すべきポイントだ」と業績悪化の要因を語る。
巨額の赤字を計上したことにより純資産は445億円まで目減り。今後の事業運営に支障が出ることから、新たに優先株発行により、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行、ジャパン・インダストリアル・ソリューションズから2250億円を調達。資本金を1218億円から5億円に引き下げてその差額を、資本剰余金とすることで累積欠損の補填に充てるとともに、運用性を高められるようにした。これらで得た資金を活用しつつ、2015年度〜2017年度の中期計画において経営再建を進めていく。
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