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DARPAロボットコンテストはなぜ開催されたのか、背景の「可能性」と「きっかけ」DARPA Robotics Challenge 決勝リポート(前編)(3/3 ページ)

災害救助ロボットコンテスト「DARPA Robotics Challenge」の決勝が行われ、日本からの参加も含めて23チームのロボットが成果を競った。しかし、なぜ、国防総省の機関が優勝賞金2.5億円という高額賞金の大会を開催するのか。その背景にある「可能性」と「きっかけ」について、現地から考察する。

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各国チーム、それぞれの特徴

 今回の決勝に参加したのは23チーム(エントリーは24チームだったが、1チームが棄権)。半数近くがトライアルに参加しているが、残りの半数は初出場である。

 日本からはNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援を受けた4チームを含む5チーム。各チームは東京大学の研究室を主流とした、教育機関で構成された。

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NEDO-JSKの「JAXON」

 アメリカからは、自動運転車の「Grand Challenge」および「Urban Challenge」でも上位につけたカーネギーメロン大学とMITを筆頭に、NASAの支援を受けた民間研究所などから12チーム。韓国からは、国立技術系大学のKAISTを含めた3チーム。ヨーロッパからはドイツから2チーム、イタリアから1チーム。そして香港から1チームの合計24チームである。

 ロボットの種類は多様だが、MITを含むアメリカ6チームは、ロボット開発のベンチャー企業「ボストン ダイナミクス」が開発したヒューマノイドロボット「ATLAS(アトラス)」を使用した。これはトライアルの獲得ポイントでトップ8までのチームに対する特典で、チーム側から要請があればDARPAが所有するアトラスを決勝まで無償貸与するもの。アトラスという完成度の高いハードウェアを得たチームとしては、ソフトウェアによる差別化を図る戦略だ。

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ボストンダイナミクスの「ATLAS」
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タスク1を終えタスク2に向かうヴァージニア大学の「ATLAS」

 また韓国では、KAISTが主導して開発した汎用機「HUBO(ヒューボ)」があるが、ファイナルではラスベガス大学とKAISTのみが利用した。

 一方、ハードウェアから独自開発したロボットのなかでは、カーネギーメロンの「Tartan Rescue (タータンレスキュー)」やドイツの「Nimbo Rescue (ニンボレスキュー)」が、機動力に優れた設計思想に対して前評判が高かった。

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カーネギーメロンの「Tartan Rescue」

 そして日本勢は全チームが個別に開発した。東京大学「HRP2」や、その後継モデルを投入したNEDO-JSK「JAXON」の完成度が高いと話題となった。だが、今回日本からの出場した5チームはトライアルの後にファイナル参加を決めており、準備期間が短いなか、どこまでの仕上がりを見せるかが注目された。なお、トライアルで最高得点を挙げたSCHAFTは出場しなかった。同社が2013年、グーグルに買収されたことが原因と推測される。

 本稿後編では、2015年6月5〜6日に行われたファイナルの模様、さらに7日を行われたファイナルのトップ3チームが技術詳細を説明するワークショップについて紹介する。

(後編に続く)

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