DARPAロボットコンテストはなぜ開催されたのか、背景の「可能性」と「きっかけ」:DARPA Robotics Challenge 決勝リポート(前編)(2/3 ページ)
災害救助ロボットコンテスト「DARPA Robotics Challenge」の決勝が行われ、日本からの参加も含めて23チームのロボットが成果を競った。しかし、なぜ、国防総省の機関が優勝賞金2.5億円という高額賞金の大会を開催するのか。その背景にある「可能性」と「きっかけ」について、現地から考察する。
タスクは8つ、制限時間は1時間
DRCは2012年10月に開催が決定。フェーズ1では世界各国から115件の応募があり、ロボットの仕様について書類審査を行った。続いてトライアルが2013年12月、フロリダ州マイアミ郊外の自動車競技場・ホームステッドスピードウエイで開催された。アメリカ、日本、韓国などから16チームが参加。日本の東京大学からスピンアウトした「SCHAFT」が最高得点を挙げた。
そして行われたファイナルでは、トライアルでのコース設定を参考として、多くの改善が行われた。
競技会場は、ローカルの競馬場を使用。観客とマスコミ関係者がグランドスタンドで見守るなか、楕円形のコースの内側に4チームが同時に競技をするため、同形状の4コースが設置された。グランドスタンド側から見て、右からブルー、レッド、グリーン、そしてイエローの4つだ。
タスクは8つある。第1は、クルマの運転。POLARIS製の小型四輪駆動車「RANGER XP900 EPS」(排気量875?)を運転し、1ケ所のクランクコーナーを含む直線路を通過する。第2は、クルマからの自力で降車すること。第3からは室内の想定で、ドアノブを使ってドアを開けて室内へ入ること。
第4は円形のバブルを360度回転させて閉めること。第5は電動ドリルを使用して壁に円形の穴を開けること。第6は“サプライズ”とされ、開催2日間それぞれで違ったタスクが設定される。第7は不整地、またはガレキを想定した小さい障害物を乗り越えること。そして第8のタスクは、4段の階段を登ることだ。
これら8つのタスクを制限時間1時間以内にこなす。タクスをクリアするごとに1ポイント入り、最高得点は8ポイント。8ポイント獲得チームのなかでは、完了時間が短いほど上位となる。
また競技の途中、ロボットが制御不能、または転倒して競技が続行不可能となった場合、チーム関係者がコース内に入り修正することが可能だ。その場合、ペナルティとして10分間競技に復帰できない。また第1タスクの途中で競技を一時中断する場合は、スタート地点へ戻る。また、第3タスク以降で競技を一時中断する場合はドア手前の位置まで戻るが、それまで獲得したポイントは有効となり、残りのタスクを通過すれば良い。
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